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103.掴み取ったチケット


長い長い石畳の階段を登り、白蘭との決戦の地・並盛神社へとやって来た私達。時刻は11:50分。約束の12時までには何とか間に合ったみたいだ。



「何だっ、これ!?」



ホッと安堵したのも束の間。先に境内に辿り着いた沢田さんから驚愕の声が上がり、私は慌てて残りの石段を駆け上がる。



「沢田さん、何が――」



あったのか…何て、聞かなくても直ぐに分かった。真っ赤な鳥居を潜った先。そこに、シートにくるまれた“巨大な何か”が置かれていたからだ。

場所が神社と言う事もあり、最初はお祭りに使うる山車(だし)なのかと思った。けれど、チョイス戦を目前に控えた今、可能性として最も有力なのは“白蘭の仕掛けた罠”かも知れないと言う事。



「迂闊に近付くな!!」



私と同じ可能性を抱いた獄寺さんが、全員に警戒するよう注意を促す。



「あ、ごめんごめん」



――が、その最悪の可能性を笑顔で消し去ってくれたのが…入江さんだ。


「言い忘れてたね。これが僕らの“基地ユニット”だよ。今朝、早めに運び出して置いたんだ」



言われて私は再び視線を戻す。入江さんとスパナさんが不眠不休で完成させたボンゴレファミリーの基地ユニット。それが今、私達の目の前にあるこれなのか。一体どんな内装になっているのだろう。私は興味心身だ。それは他のメンバー達も同じらしく、皆、制作者の二人に質問攻めだった。

――と、その時。仲間の話には加わらず、一人辺りを見回している沢田さんの姿に気付いて、私は控え目に声を掛ける。



「沢田さん?」

「あ、うん。山本と雲雀さん……まだかなって」



彼の言葉に皆がハッとした。今回のチョイス戦は全員参加が義務づけられている。それは一人でも欠ければその時点で失格を意味していて、負けが決まると言う事だから。

しかしそれ以上に私が心配だったのは二人の安否。今回の修行は危険を伴うものだと聞いている。だからもしかすると…。



「――修行を失敗した可能性もあるしな」



沢田さんの通信機から、ホログラムのリボーンさんが現れ、そう告げる。

確かにリボーンさんの言う通りだった。絶対に失敗しないなど誰が言い切れるだろうか?誰も言い切れる筈がないのだ。



(それでも必ず来て下さると、私は信じます)


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あきゅろす。
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