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102.決戦の日


――チョイス戦、当日。

前日まで準備に追われていた入江正一は、大きな欠伸を噛み殺しながら、覚束ない足取りで、アジトの廊下を歩いていた。



「ふあ〜…。強烈な女の子達だな〜〜〜。まだ耳がジンジンするよ〜」



ここ数日の徹夜がたたり、着替えながら眠るという高度な技を披露した入江を、鍋とお玉で起こしに来たのは、笹川京子と三浦ハルの二人だった。

二人は入江が起きるまでカンカンカンと、騒音を鳴らし続け、その余りの凄さに寝起きの良くない入江ですら、火事か!?地震かと飛び起きた位だ。

あれは流石に鼓膜が破れるかと冷や冷やしたよ。



「――て、いかんいかん!今日は大事な“決戦の日”。年長組の僕がしっかりしないと、正一!!」



自分自身にそう言い聞かせ、入江は寝癖でボサボサの頭を素早く整える。そして皆が集まっているであろう部屋の前に辿り着くと、足を止め、コホンと一つ咳払いをした。



「失礼するよ」



声を落とし、部屋の中に入った入江は、室内で待機中の守護者の姿を見て「うわ」と声を上げる。

彼らが全員、黒のスーツで正装していたからだ。その他のメンバーも朱色の制服を着用している。



「君達その格好!!……決まってるじゃないか」

「ほ、本当はちょっと照れ臭いですけど…///」



照れる綱吉とは対照的に、リボーンは満足げだ。



「オレがこの戦いの為にオーダーしたんだ」

「リボーンさんが?」

「嗚呼。ボンゴレマフィアの起源は住民を守り、そして歌姫を守る為の自警団だ。歴代ファミリーは、その役割を果たす時、その正装に身を包み、命を賭けて戦ったんだ」



――と、真剣に語るリボーンの横で、心底、胡散臭そうな顔する綱吉。



「な、何だよ。マフィアをちょっと格好良く、良いモンみたいに言って」

「元々のボンゴレは良いモンだって事だ。何せ、長きに渡って歌姫を守り続けて来たんだからな」



歌姫を守り続けて来た。そう言われては、流石の綱吉も『ちょっとだけ良いモンかも』と流されてしまいそうになったが、



「――その後で、口では言えねーような事もしてるかも知れねーけどな」



前言撤回だ。やっぱり良いモンなんかじゃない!



「それが問題何だよっ」

「――でも、今回の戦いは間違っていない!絶対に君達は正しいんだっ」


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あきゅろす。
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