「名前!!」
ボンゴレアジトに戻った私を最初に出迎えてくれたのは、落ち着かない様子で作戦室内を動き回っていた獄寺さんだった。
「てめー何処に行ってやがった!このバカ女!!」
「まあまあ、落ち着けって。でも急に居なくなるから心配したんだぜ?」
今にも掴み掛かって来そうな獄寺さんを宥めつつ、山本さんも眉根を寄せる。そんな彼らの様子を見て、私は今更ながら黙って出掛けた事を後悔した。これは完全に心配をかけてしまったようだ。
「ご心配をお掛けして、すみませんでした」
「謝って済むか!!」
「ん?何故だ?無事だったから良いではないか」
「良い訳ねーだろっ、この芝生頭!!!」
「なんだとタコ頭!!」
「まあまあ、二人共♪」
申し訳ないと謝罪しておきながら、毎度お馴染みの光景にクスリと笑みが零れた。すると、背後からも同じように高らかな笑い声が聞こえて来る。
振り返った先に居たのは、並中から一緒に此処へ来たディーノさんだ。
「相変わらず賑やかだな、お前達3人は…」
「お?ディーノさん?」
「なっ、何でてめーまで此処に居んだよ!!」
「何だよ、獄寺。ご挨拶だな。言っておくが、お前達が揉め事を起こしてる間、俺が大事なお姫様の護衛をしてたんだぜ」
煩いおまけも居たけどな。そう言ってディーノさんは肩を竦(すく)める。“おまけ”が誰の事を指しているのかは……突っ込まずにおいておこう。
「そしたらツナと笹川が名前を迎えに来たんで、送るついでに、お前達の成果を聞きに来たって訳だ。…で?どうなんだ」
「どうもこうもあるか!この芝生頭とアホ牛と来たら、人の言う事は聞きもせず、自分勝手な事ばかりして、ちっとも成果が上がらねーんだよ!!」
「タコ頭の説明の仕方が悪いのだ!オレは考えるより、身体で実感した方が早い!!」
「少しは頭使えよ!!これだから体力バカは…っ」
「まあまあ。それでも修行が出来るだけいいじゃねーか。……オレも自主練はしてるけど、どうも感覚が掴めなくてさ」
そこでハタと気付く。そう言えば、山本さんの家庭教師は誰が担当するのかまだ聞いていないな。ディーノさんは、既に誰か決まっているような言い方をしていたけど…。
そんな事を考えつつ、隣のディーノさんを見上げるが、彼は顎に手を添え、難しい顔で思案中。
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