その事を訊ねてくるという事はディーノさんの体質は10年前から変わっていないという事だ。
私は乾いた笑みを浮かべつつ小さく頷いて見せる。
「つーか何しに来たんだよ!おめーのファミリーもミルフィオーレとの戦いで大変なんだろが!!」
けれど獄寺さんに言われてハッとした。
そうだ。この時代の笹川さんの話ではキャバッローネもイタリアでミルフィオーレと戦闘中の筈。
この前、並中で再会した時は久し振りに会えた喜びですっかり失念していたけど、本国の方はどうなったのだろうか?
「ハハ、だからそんな顔すんなって…。安心しろ。向こうは片付いた」
「本当ですか!?」
「嗚呼。だが、白蘭を倒さなければイタリアでの勝利の意味はない。全てはツナ達次第って事だ」
“ツナ達次第”。
その言葉で皆の表情は一変。
ピリピリとした張り詰めた空気が辺りに漂う。
そんな緊張感の中、ディーノさんは私の傍に歩み寄ると彼が何時も愛用しているファーの着いたグリーンのモッズコートを何故か私に羽織らせた。
「ディーノさん?」
「水に濡れた名前も色っぽくていいんだが、このままじゃ風邪を引く」
言われて改めて自分の姿を確認する。
雨の炎により服はずぶ濡れ、髪からは雫が滴り落ちている。
私は咄嗟に自分の腕で身体を隠すように抱き締めた。
色っぽいと言うのはディーノさんの冗談にしても、大事な決戦を前に風邪を引く訳にはいかない。
「それに名前に風邪を引かせたら恭弥が煩そうだ。早く着替えて来いよ」
どうして此処で雲雀さんの名前が出るのか不思議だったけれど、折角の申し出。申し訳ないと思いつつも散乱した部屋をそのままに、借りたジャケットを羽織って、私は自室へと戻ったのだった。
◇ ◇ ◇
その後、早々と夕食をすませた私達はディーノさんの指示でトレーニングルームに集結していた。
そこにはディーノさんやボンゴレ守護者を始め、ビアンキさんやイーピンちゃんなど様々な面子が勢揃い。
一体これから何が行われるのだろう。
「よし。これで全員揃ったな。今日から本格的な匣兵器の修行だが…リボーンの一番の教え子である俺が全体を仕切る家庭教師をする事になった」
成る程。それでこのメンバーが集められたと言う事か。よく見るとロマーリオさん達の姿もある。
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