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99.修行開始


「ディーノ…さん?」



突如、ボンゴレの地下アジトにやって来た、キャバッローネファミリーのボス・ディーノさん。

――どうしてディーノさんが此処に?私は床に座り込んだまま、予想外の来客に目を見開く。

それに気になる事は他にもあった。さっきディーノさんが口にした台詞。



「バジルの答えが正解って、どういう意味だよ」



それは他の皆さんも同じだったみたいで、不機嫌オーラ全開の獄寺さんがディーノさんに訊ねる。



「意味もなにも、言葉通りだ。その匣は名前の事を守ろうとしたんだよ」

「…私を?」

「嗚呼。そうだ」



床に転がる大空のボンゴレ匣。それを見つながら私は訝しげな顔をした。

匣の持ち主である沢田さんを襲っていながら、私の事を守ろうとしただ何て…。何と言う矛盾。

獄寺さんのように、入江さんが不良品を渡したとまでは思っていないが、彼も気付かぬ内に異常が発生していた…という事は考えられると思う。

だって、そうでもなければ、こんな不可解な事になる筈はないのだから。



「そんな怪訝そうな顔すんなって。これはマジな話なんだか――」



『ら』とディーノさんの話は続く……筈だった。

けれど、最後の言葉よりも先に『ドテーン!』という、それはそれは大きな物音が辺りに響いて、その場にいた全員が一斉に視線を上げると…、



「いっつつつ」



目の前には、跨った天馬のアニマル匣から降りようとしたらしいディーノさんが、バランスを崩してズッコケている姿が。



「おっかしーな。今日はやけに転ぶっつーか、ドジるっつーか。……1qも離れてねー場所から此処に来るのに“3時間”も掛かっちまったし」



そこで私はハタと気付く。部下の人達の姿が…何処にも見当たらない。

――これはまさか?



「あ、あのディーノさん。ロマーリオさんはご一緒ではないのですかι」

「ん?3時間前に草壁と飲みに行かせたぜ」



……嗚呼、やっぱり。それならこの“どじっ子”ぷりにも納得が行く。沢田さん達も「まさか」と気付き始めたみたいだ。



「ね、ねえ名前さん。ディーノさんて、さ。その……もしかして?」



沢田さんの言いたい事は直ぐに分かった。恐らく『まだ部下の人の前でしか力が出せないのか?』そう訊ねたいのだろう。


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あきゅろす。
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