この時代の沢田さんが収集していたと言う特殊なバイクのお陰で、どうにか機動力の問題は解決。
乗りこなせるようになるまで(沢田さんが)相当苦労したみたいだけど、何とか形になったとリボーンさんが呟いていた。
そして、いよいよ彼らは次なる段階に突入する。そう。この時代の沢田さんが過去の守護者に託したボンゴレ匣の修行だ。
しかし、本格的な修行は明日から開始という事で、夕飯までの間、皆さんはそれぞれ自由時間を過ごす事になっていたの。
◇ ◇ ◇
「それでは夕食の準備が出来ましたと、皆さんに声をかけて来ますね」
「「お願いしま〜す♪」」
弾むような声の京子さんとハルさんに見送られながら、自室で待機中の皆の元へと足を運ぶ私。
先ず私が訪れたのは?
「沢田さん。名字です。いらっしゃいますか?」
ボンゴレ10代目こと、沢田綱吉さんのお部屋だ。
「どうしたんですか?」
ノックの後、直ぐに顔を覗かせた沢田さんに、私はニコリと笑顔を向ける。
「そろそろ夕食の時間ですので、声をかけに…」
「え、もうそんな時間!?早いな〜…。呼びに来てくれてありがとう///」
「いえ、そんな。少しはお休みになれましたか」
「ん〜。何か色々考えちゃって、あんまり休んだ気はしない……かも」
それもそうか。チョイスの事や、ボンゴレ匣の修行の事など、彼らは大き過ぎる難問を抱えているのだ。例え身体は休めたとしても、心まで休まる事はないのだろうな。
「名前さんは?ちゃんと休めてるの??」
「え?」
沢田さんの質問に私はクルリと瞳を丸くする。だって、まさか自分にまで返って来るとは、思ってもいなかったから…。
「ほら!メローネ基地で白蘭が言ってた事とか…。そ、その、貴女の事が欲しいとか…何とか…」
そう言えばそんな事もあったなと、まるで他人事のように考える自分がいた。何故って、殆ど会った事もない人に「惹かれてる」と言われても、現実味に欠けると言うか。
『一目惚れだから』と言う理由ならまだ分かる。けれど、自分が一目惚れをされるような外見ではない事は、私が一番分かっているし、何と言っても相手はあの白蘭だ。こちらを動揺させて私ごと大地の匣を手に入れるつもりなのではないかと疑う方が自然だと思う。
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