入江さんに促され、背後を振り返ると…。
「極限に此処は何処だー!!」
笹川さんが眠っていた筈のベッドに、制服姿の若き笹川了平さんの姿が!
「我々が移動しなかったのは、7つのボンゴレリングが揃っていたからだ。リングが揃った事により、結界が出来て我々と装置は守られたんだよ」
「お前、こうなる事を読んでたのか?だからリングを持つ10年前の了平を呼んでおいたんだな」
リボーンさんの問い掛けに、入江さんは小さく苦笑を浮かべた。
「嗚呼、白蘭さんのやりそうな事の何割かはね」
私はもう一度背後の笹川さんを振り返る。全く状況を理解していない笹川さんは、過去で行方不明になっていたらしい仲間と再会できて大騒ぎだ。
「10年前の笹川氏がボンゴレリングと共に来た事は、我々にとって間違いなくプラスですが、あの6弔花より更に上がいるとは…。この戦力でこの先一体どう戦えと――」
草壁さんの不安は尤もだと思う。6弔花でも苦戦を強いられたと言うのに、一体どうすれば―…。
「そりゃあ、やるっきゃないっスよ」
その声にハッとする。
期待と不安の入り交じった瞳でゆっくりと声の主を振り向いた私は…、
「山本さん!!!」
ベッドの上に座り込んでいる山本さんの姿を見るなり慌てて駆け寄った。
「アンタの声が聞こえるなと思ったら、やっぱ此処に来てたんスね」
「もう起き上がっても平気なんですか!」
「まあ何とか。アンタは怪我とかしてねーの?」
何とか、などのレベルではない筈なのに…。こんな状態でも私の事を案じてくれる山本さんの優しさに涙が出そうになる。
「でも、どう考えても無謀な戦いだ。向こうの戦力に敵う訳がない」
山本さんの生還に安堵したのも束の間。スパナさんの一言で、私達は現実へと引き戻された。
(私は、また失ってしまうのでしょうか?)
この時代の沢田さん達を失ったように大切な人を。
私が白蘭の元に行く事で皆が救われるのなら迷わずにそうする。けれど彼の目的はそれだけでは終わらない。白蘭の狙いは73と私。例え私を手に入れたとしても、ボンゴレリングを奪う為に必ず攻撃を仕掛ける筈だ。
それに不可解な事がある。どうして白蘭は私を欲しがるのだろうか。
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