イタリアの主力戦だけでなく、自分を欺いていた入江さんの事すらも…。
『確かにこの戦いを利用して敵に寝返る計画はよく出来ていたし、正直ボンゴレと手を組むなんて思ってなかったけど…』
君が何時か敵になる事は想定の範囲内だった、と白蘭は楽しげに続ける。
『だって昔からずっと正チャン、僕のする事・なす事、何時も否定的な目で見てたもんね♪』
全てを見抜かれていた事に動揺する入江さん。けれど入江さんはグッと拳を握り締め、強い眼差しで白蘭を睨みつけた。
「貴方は…間違ってる。この世界を自分のものにしようとする考えも。その為に歌姫を――名前さんを道具として利用しようとする考えもです!」
『ふふふ、ほら来た。でもね正チャン。君、一つだけ勘違いしてるよ。…僕は別に世界を手にする為の道具だから名前チャンが欲しい訳じゃない』
“名前チャンだから欲しいんだよ”
彼の言っている事が理解できなかった。呆然と立ち尽くす私を白蘭は穏やかな眼差しで見つめ、
『僕はね、君に惹かれているんだ…名前チャン』
甘い言葉を囁く。
『歌姫の力も含めて、僕は君が欲しくて堪らない。だから、そろそろちゃんとやろうと思って』
彼女が誰のものなのか、沢田綱吉クン率いるボンゴレファミリーと、僕のミルフィオーレファミリーの正式な力比べをね。
『勿論、名前チャンと……73を賭けて』
「名前さんと73を!?」
「待って下さい白蘭さん!それは貴方にとって不利な筈です。貴方はこのメローネ基地に4人。イタリアに1人。計5人の6弔花を送り込み、7つの内5つのマーレリングを失っている。最早貴方は翼をもがれた鳥だ」
『う〜ん。まあそのリングが本物ならね』
刹那、入江さんの指に填(は)まった晴のマーレリングが崩壊し、床へと落下する。まさか偽物!?
『勿論それもランクAの凄え石なんだけどね。73はもっと特別なの♪』
「だけど…っ」
『悪いけど、正チャンには秘密で他に組織してあるんだ。……正チャンに会わせるには刺激が強すぎると思って伏せといたんだけど、もう敵同士なんだから良いよね?』
笑顔の白蘭の頭上に新たな映像が映し出される。
『紹介するね。彼らが本物のミルフィオーレファミリー6人の守護者』
真6弔花
(ふふ。彼らこそが僕が選んだ真のマーレリング・ホルダーにして、僕の本当の守護者達だよ)
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