「お、落ち着いて獄寺君!?この人はスパナさん。キングモスカにやられたオレを助けてくれたり色々世話になったんだ」
それじゃあ、この人…スパナさんは沢田さんの恩人という事になるのか。
「あのスパナさん。色々と有難うございました」
私はスパナさんの前に歩み出ると深々と頭を下げる。それを見た当人は心底驚いた顔をしていて。
「どうして歌姫がウチに礼を言うんだ?」
「沢田さんがお世話になったのなら私もお世話になったも同然ですから」
沢田さんの様子を見れば、此処まで辿り着くのにどれだけ苦労したのかは大体の想像がつく。それにこの人は敵側の人間。にも関わらず、味方を裏切って我らのボスを手助けてくれたのだ。お礼を言うのは至極当然の事。
顔を上げ、ニコリと笑みを向ければ、何故かスパナさんは私を凝視していて…。どうかしたのですか?と首を傾げた瞬間、
「うん。やっぱりウチの思った通りだ」
突然、ぎゅうっと両手を握り締められたのだ。
「「すすすすスパナああ!?ななな何して…っ」」
見事に重なる沢田さんと入江さんのどもり声。
けれどスパナさんには全く聞こえてないらしく、瞳を輝かせながら更に両手を握り締める。
「ウチはジャッポーネが大好きで、ずっとヤマトナデシ〜コに憧れていたんだ!清楚でありながらしんが強い。歌姫、アンタはウチの憧れたヤマトナデシ〜コその物だ!」
突然の大和撫子発言に私は呆然。反応を返す事が出来なかった。しかし、そんな私に代わって異常な反応を示す者達が。
沢田さん率いるボンゴレファミリー(+1)だ。
「てめーの目は節穴か!このチンチクリン女の何処が大和撫子なんだっ」
獄寺さん。確かに私はチンチクリンですが、そんな大声で言わなくても。
「どうして?私は名前……可愛いと思う///」
誰が見ても可愛いのは貴女です、クロームさん。
「まさかスパナが名前さんに会いたかったのって、それを確かめる為だったのー!!??知ってたら連れてこなかったのに!」
沢田さん。確かお世話になった方なんですよね?
「ききき、君は何をやっているんだスパナ!そりゃあ名前さんは優しくて大和撫子のように素敵な人だけど、だからと言って、いきなり手を握る必要はないだろう///」
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