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90.隠された能力 ****


「取り敢えず、ボンゴレ基地に連絡が来るまでは暫く休んでいてくれ。怪我人は緊急用ベッドへ」



入江さんの指示で山本さん、笹川さんが慎重にベッドへと運ばれて行く。その様子を不安げな眼差しで見つめていると、



「名前さん怪我はない」



沢田さんが急いで私の傍へと駆け寄って来た。



「はい。大丈夫です。私の事より沢田さんの方が酷い傷ですよ?」

「お、オレも平気!名前さんが幻騎士に捕まったって聞いて、ちょっと無茶しただけ…だから…」



チョイチョイと指先で頬を掻きながら、沢田さんが照れたようにはにかんだ瞬間……異変は起こった。何故か急激に室内の温度が低下したのだ。





「――おい、入江」





同時に地を這(は)うような低音ボイスが響いて、私は声の主を振り返る。

するとそこには、ダイナマイトを手にした獄寺さんと、トンファーを構えた雲雀さんが、入江さんに向かって殺気を放っている真っ最中で…。



「一発殴らせろ。訳ありだったとしても腹の虫が収まらねー!!」

「……僕が先だよ」

「ききき、君達待ってよ!ぼ、暴力反対っっ」

「……知らないね」

「オレが先だ」



物凄い形相で詰め寄る二人に、耐え兼ねた入江さんは足を震わせ、その場に座り込んでしまう。



「まあ待て、お前ら。……名前の事で苛立つ気持ちも分かるが、入江にはまだ聞かなくちゃならねー事があるだろ?」

「リボーンさん!べ、別にオレは名前の為に入江を殴ろうとした訳では」

「僕も個人的な感情だよ。あの人は…関係ない」



微かに頬を染める獄寺さんと、不機嫌そうにそっぽを向く雲雀さん。そんな二人を愉快そうに眺めた後、リボーンさんは再び入江さんを向き直る。



「それで入江、白蘭の能力ってのは何なんだ?」

「うん。一言で説明するのは難しいが、能力自体は極めて限定的な状況でしか使えないもの何だ」



しかし、この時代に起きている“あり得ないこと”の多くが、白蘭の、その能力に起因していると入江さんは続けた。



「そうだな。一番納得して貰えるのは…名前さん。貴女の事だと思うよ」



――え?私の?



隠された能力


(厳密には…歌姫のね)


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あきゅろす。
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