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90.隠された能力 **


「さっきも言った通り、73は歌姫の身体に封印された大地の匣を解放する唯一の鍵なんだ。だから白蘭さんは73を集め、名前さんを自分のモノにする為には手段を選ばない。そういう人だ」



――彼はこの意志を73・ポリシーと名付けた。



「そしてそれが達成されれば大地の匣の封印は解かれ、今の非じゃない地獄絵図を見る事になる」



世界を滅亡させる程の力を秘めた“大地の匣”

それを手にした白蘭は、自分の思い通りにならない人間・集団・国までも抹殺するだろうと、入江さんは豪語する。

普通なら到底信じられない話かも知れない。けれど私はそれが事実である事を、この目で見て、この身体で体験している。



(骸さんの時だって…)



あの時、無理矢理にでも私が白蘭の言う通りにしていれば、骸さんはあんな事にはならずに済んだかも知れないのだ。



(骸さん)



消息の分からない彼の顔が脳裏を過ぎって、私はぎゅっと瞳を閉じた。



「だとすると一つ分かんねーな。何で今まで白蘭に手を貸して来たんだ?お前が10年バズーカでボンゴレリングをこの時代に運ばなければ、奴の目的は達成されない筈だ」



その言葉にハッとする。確かにリボーンさんの言う通りだ。この時代のボンゴレリングは既に破壊されていて、沢田さん達が過去から来なければ白蘭は目的を果たせない。

勿論それでは、この時代の沢田さんやリボーンさん達アルコバレーノは…亡くなったままという事になる。けれど、関係のない京子さん達は巻き込まれずに済んだ筈だ。



「確かに笹川京子達は巻き込まれずに済んだかも知れない。でもそれは一時的に過ぎないんだ」

「一時的?」

「うん。僕の手など借りなくても彼はいずれ君達を未来に連れて来た筈だ。それに僕がこのやり方にこだわった理由は他にある。彼を止められるのはこの時代だけなんだ」



この時代だけ。違和感のある入江さんの言葉に全員が訝しげな顔をする。



「どういう事ですか?」

「言葉通りだよ。今この時代に倒すしか白蘭さんの能力を封じる手はない」



更に頭が混乱して来た。それは周りの面々も同じ。その為、もう少し詳しく教えて欲しいと願い出ようとしたのだが――、


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