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90.隠された能力


「オレが…10年後のオレがみんなをこの時代に…?こんな…危険な所へ」



入江さんの話を聞いた沢田さんは顔を真っ青にして、掴んでいた胸倉からゆっくりと両手を離す。

まるで自分を責めるように何度も「オレが」と繰り返す沢田さん。そんな沢田さんを入江さんは何とも言えない複雑な表情で見下ろしていた。



「ありえん!!沢田の性格は良く知っている!信じられない位甘い奴だっ」

「そ、そうだ!どんな事があろうと、10代目は絶対にチビ達を巻き込んだりしないっっ」



しかし入江さんを完全に信じた訳ではないラルさんと獄寺さんからは再び非難の声が上がる。そんな二人に入江さんは「あ〜…もう!」と苛立たしげに言葉を吐き捨てた。



「それ位ヤバイ状況って事でしょう!!話の流れで察してくれよっっ」



髪をグジャグシャとかき乱し、ケースの中の全員を振り返ると、入江さんは更に声を荒立たせる。



「全てをかけてこの自体に対処しないと、名前さんは奪われ、君達も、君達の仲間も全滅しちゃうんだって!それ所かもっと多くの人々の……っ…下手をすれば“人類の危機”なんだぞ!!」



『人類の危機』まさかそこまで話が大きくなると思ってもいなくて、驚き瞳を見開く私達。でもリボーンさんは違った。



「手段を選んでられねー程ヤバイって事か」



神妙な面持ちで入江さんの話に耳を傾けていたのだ。



「オレはコイツの話を信じてやってもいいと思ってるぞ。オレが感じていた疑問の答えとしては、今のトコ辻褄(つじつま)があってるからな」



私以外に自分を信じてくれる人が現れて嬉しかったのだろう。入江さんは「ありがとう!」と呟きながら目頭を押さえ、そして高らかに宣言する。





「そうだ。君達の敵となるのは――白蘭さんだ」





入江さんの発言に、その場の誰もが言葉を失う筈だった。けれど、一人だけ違う反応を示した人がいたのだ。10代目ファミリーのボス・沢田綱吉。



“やっぱり”



彼は確かにそう口にしていた。沢田さん本人は何の躊躇(ためら)いもなく自分が口走った言葉に心底驚いているようだったが、私は一人納得。

やはりどんなに幼くてもボンゴレ10代目だ。代々ボンゴレボスが司ってきた超直感は健在らしい。


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