何かに気付いたようにリボーンさんが小さく呟いた。そこで私もハッと思い出す。この時代の獄寺さんが持っていた手紙!
「君達が僕を標的にして此処へ乗り込むようにさせたのは、僕がミルフィオーレに秘密で仕組んだ計画だったんだ」
君達を鍛えて強くなって貰う為に…。そう続ける入江さんはとても辛そうな顔をしていて、私まで顔をしかめてしまう。
「沢山酷い事をして本当に…ゴメン。――でも、これから来る戦いに備え、短時間に飛躍的な成長をして貰うには、この方法しかなかったんだ!」
「これから来る戦い?」
ア然とする沢田さんに入江さんは大きく頷いた。
「そうだ!君達の本当の敵は――僕じゃない!」
「ふざけんなっ!!作り話に決まってるぜ!てめーがヤバくなって来たんでオレ達を丸め込もうってんだな…っ」
「獄寺の言う通りだ!そんな話信じられるかっ」
相変わらず強い口調で入江さんを責め立てる獄寺さんとラル・ミルチさん。そんな二人を遮るように、私は咄嗟に入江さんの前に立ちはだかった。
「待って下さい!」
私が入江さんを庇った事に、二人は心底驚いたような顔をする。私だって二人の気持ちが分からない訳ではない。でも、今の言葉を聞いて信じられると確信したから…。
「私は貴方を信じます」
入江さんを振り返り、ニコリと微笑みかければ周りが一瞬でざわめいた。
「貴方は、きちんと謝って下さいました」
酷い事をしてゴメンと。
「だから私は――入江さんを信じます」
「このバカ!!何処までお人好し何だてめーは!」
「勿論、入江さんを信じようと思った理由はそれだけじゃありません。…考えてみて下さい。今回の戦い、誰がどうみたってミルフィオーレの方が圧倒的に有利だったんです。その事は皆さんだって分かっていた筈…」
「確かにその通りだな」
そう言って私に同意したのはリボーンさんだ。
「正面に戦っても勝てないのはお前達も分かってただろ。だから、一か八かの賭でこのミルフィオーレの基地に潜入した」
そう。彼らは結果的に色々な戦いを経て、成長し、この最終地点に辿り着いた。全てが入江さんの言う通りに…。
「君達を一遍にじゃなく、何人かづつ入れ替えたのも、この時代の君達に、過去の君達を導いて貰う為だ!!」
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