自分の中に生まれた矛盾。その理由を知りたくて…私はゆっくりと入江さんの隣に膝を着く。
「名前さん!?」
「名前何をしている!」
それを見た沢田さんとラルさんが声を上げていけれど、私は構わず入江さんを見つめた。対する入江さんも、驚いたように私を見つめ返して来る。
「――その話を、聞かせて頂けますか?」
「なっ、駄目だ名前!」
「お願いです獄寺さん」
懇願するように瞳を揺らせば、獄寺さんはクッと言葉を詰まらせ戸惑った表情を浮かべる。そんな彼の横で、雲雀さんが立ち上がる姿が見え、私はそちらに視線を移した。
「………」
雲雀さんは何も告げずに、ただ静かに私を凝視していて。でもそれが「聞くなら早くしなよ」と促しているように思え、私は小さく笑みを零す。
雲雀さんに勇気を貰いつつ、私は改めて入江さんに話を聞いた。
そして入江さんが告げたのは…普段、彼の行動は何時も部下と監視カメラによって24時間・白蘭に筒抜けになっている事。
「だけど君達が全てを滅茶苦茶にしてくれたおかげで、やっとこうして話が出来るようになった」
入江さんは私から視線を移すと、真剣な面持ちで沢田さんを見据える。
「ずっと、この時を待ってたんだよ」
――え?待っていた?
「この基地での、この状況での出会い方こそが、“僕ら”が設定したゴールだったんだから…」
ゴール?それも“僕”ではなく“僕ら”が?
「ミルフィオーレがボンゴレリングを奪う為に君達をこの時代に連れて来たのは事実だ。思惑通り、君達はボンゴレリングを持って…此処にいる」
入江さんは徐(おもむろ)に立ち上がると私に向かって右手を差し出す。
少し躊躇(ためら)ったけれど、その手に自分の手を重ね、立ち上がらせて貰った瞬間、バン!とケースを殴りつける音が。
見ると、それは物凄い形相でこちらを睨みつける獄寺隼人さんの姿。
「名前に触んなっっ」
「獄寺さん!」
「てめーも騙されてんじゃねー!!聞いただろっ、そいつの話を!やっぱりボンゴレリングが狙いなんじゃねーか!」
「ボンゴレリングを奪うだけなら、君達をこのメローネ基地に呼び寄せる必要はなかった!」
「呼び寄せる…って」
「あの手紙――まさか」
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