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89.明かされる 真実


例え無理だと分かっていても、願わずにはいられなかった。この世に神様が居るのなら――、



(お願いです!時間を…時間を止めて下さいっ)



けれど無情にも時は過ぎ、最後のカウントが告げられた。何も出来ない自分が歯痒くて、唇を噛み締めながら私はぎゅっと瞳を閉じる。刹那、


パアアン!


辺りに響いた銃声音。



「…入江……さ、ま?」



チェルベッロの戸惑う声。何が起きたのか理解できなくて、私は閉じていた瞳をハッと見開いた。

瞬間、まるでスローモーションのように床に倒れる二人の姿が目に入る。



「悪く思わないでくれ。少し眠って貰うだけだ」



そして、彼女達を撃ったであろう人物を私はゆっくりと振り返った。



「はあぁ〜…暑い。…もうクタクタだ…」



瞳を丸くする私の横で、銃を投げ捨て、髪を乱し、着ていた隊服を着崩していく、その人物。



「一時はどうなるかと思ったよ。沢田綱吉君とファミリーの皆さん」



それは紛れもなく私達の宿敵である“入江正一”……の筈なのだけど、



「ぁ、緊張がとけて、ひ…膝が膝が笑ってる…」



彼は足を震るわせながら、その場に座り込んでしまった。私はいつの間にか自由になっていた右手を胸の前で握り締める。



「よく此処まで来たね。君達を待ってたんだ。――僕は君達の味方だよ」



そして彼が告げた“味方”という言葉に私は絶句。それは、この場にいた全員も同じであった。



「オレ達の…味方!?」

「う、うん。そう何だ」

「ちょ…!味方ってどういう事!?だって貴方はミルフィオーレの幹部でっ、オレ達の敵で…っ」



混乱する沢田さん。でも当然の反応だと思う。私だって全く今の状況に頭が付いていかないもの。

これまで敵だと思っていた入江正一。彼を標的として、この基地にだって潜入したというのに。それが突然“味方”だなんて言われても……。



「10代目!また罠かも知れません…っっ」

「そうだっ、奴を拘束しろ、沢田!!!!」



未だケースに閉じ込められたままの獄寺さんとラルさんが、そう叫ぶ。

私も二人と同じ意見で『信じられない』と思っている筈なのに、何故かその反面『罠ではない』と感じている自分がいた。



「んん〜…、急に信じろって言っても無理なのは分かるよ!だけど話を聞いて欲しいんだっ」


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あきゅろす。
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