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88.絶体絶命 ****


入江が白くて丸い装置を振り返る。その瞬間、装置の中心部が開いて行き、開いた場所から煙と共に眩い光が溢れ出す。

そして、名前達の目に飛び込んで来たのは、余りに信じがたい光景。



「10年バズーカによってお前達と入れ替わりで消えた、この時代の――」



“お前達だ”










◇ ◇ ◇


自分が捕らわれている事など、どうでも良くなる位私は混乱していた。

だって、今私の目に見えているのは、会いたくて会いたくて堪らなかった、この時代の仲間の姿。



「これでその機械を壊せばどうなるかは…説明しなくても分かる筈だ」



一体どういう事なの?だってこの時代の沢田さん達は10年バズーカの効力で10年前にいった筈!?
獄寺さんと草壁さんも同じ疑問を口にしていた。

それに対し、入江は「その通りだ」と頷いて見せる。彼の話では、今見えているのはホログラムのイメージで、実際には、彼らの身体は分解された分子の形で機械の中に保存されているらしい。

そして、この装置がこの時代の皆さんを過去に行かせず、ここに留まらせていると説明したのだ。



「この時代のお前達に過去に戻られ、余計な事をされては“73(トゥリニセッテ)・ポリシー”に乱れが生じるからな」



3・ポリシー??



「つか、10年バズーカを知ってるって…まさか!」

「10年バズーカを使ってオレ達をこの時代に送り込んだのは…お前か?」



リボーンさんの問いに私も入江正一を振り返る。



「その通りだ」



それにも入江は迷う事なく頷いてみせた。



「10年前の僕が、この時代の科学技術を駆使して、お前達に10年バズーカを使ったんだ。…例えばアルコバレーノであるなら、非73を照射して身動きをとれなくしてだ」

「成る程。それであの時、金縛りにあったみてーに動けなくなったのか」

「でも、どうして!」



シュー…と死ぬ気の炎が消えた沢田さんが、再度入江に投げかける。



「何でそんな事をしてまでオレ達をこの時代に連れて来たんだ!!」



沢田さんの疑問は尤もだと思う。でも私には一つだけ心当たりがあった。この時代に失われ、過去の彼らが持っている物。





「ボンゴレ…リング」


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