「話だと!!?」
「そうだ。今後の事をゆっくりと話し合いたいのでね」
「何を今更っ」
更に炎を強くする綱吉。
「聞こえなかったのか。僕は拳を下ろせと言ったんだ。――少しでも抵抗する素振りを見せれば、彼らの命はなくなるぞ」
入江の視線が綱吉から逸らされ、壁際にある大きな長方形の機械のようなものへと移動した。
次の瞬間、その機械が左右に別れ、中からカプセル型のケースが姿を現す。しかし、そのケースに入っていたのは――!
「みんな!!!」
共にメローネ基地に潜入した仲間達だったのだ。
「みんなに何をした!」
「眠らせただけだ。――彼らが暴れたおかげで、この基地は深刻なダメージを受けたのでね」
耐炎性のナノコンポジットアーマーの壁で追い詰め、逃げられなくなった所を睡眠ガスで眠らせた、と入江は続ける。
「――しかし、お前が下手に動けば今度は“別のガス”を注入する」
入江の合図と共にチェルベッロが取り出したのは何かのリモコンだった。
「このリモンコを押せば彼らは一巻の終わりだ。彼らを救いたければ言う通りにしろ…沢田綱吉」
ケースの中でピクリとも動かない仲間達。綱吉はクッと唇を噛み締め、ゆっくりと拳を下ろす。
「よし。良いだろう」
それを確認した入江がチェルベッロにある指示を出した。直後、ピッとリモコンを操作する音が聞こえ、綱吉は焦る。
「何をする気だ!」
「慌てるな。睡眠ガスを無効化しただけだ。よく見ていろ。間もなく全員……目覚める筈だ」
入江に促され、仲間達に目をやれば、ケースの中に充満した睡眠ガスが吸収されて行くのが分かった。直後、閉じ込められた仲間達が微かに動き、
「みんな!!!」
綱吉は咄嗟に声を上げる。その声に一番に反応したのは獄寺だった。しかし、自分達が閉じ込められていると分かり、獄寺は何度も何度も両手でカプセルを殴りつける。
「無駄です。そのカプセルを素手で破る事は出来ません」
「てめーはチェルベッロ女!!何で此処に…っ」
「お前達の命は我々が握っている。下手な真似はしない方がいい」
そう言って話に割って入ったのが入江正一だと気付き、獄寺は瞬時に匣を開匣しようとした。けれど、妙な違和感を感じて自分の指に目をやる。
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