深い深い眠りの底から途切れた意識が浮上する。重い瞼を開け、身体を起こそうとするが、思うように動いてくれない。
取り敢えず視線だけを動かし、辺りの様子を窺うが、そこは明かり一つも灯らない、真っ暗な空間が広がっているだけだ。
(此処は…一体?)
自分が敵に捕まったと言う事は分かる。意識が途切れる寸前、6弔花の幻騎士に担がれた事を覚えているから…。でもそうなると雲雀さん達は?
(雲雀さん達は一体どうなったのでしょうか)
暴走する球針態の中、全員が無事に逃げられたのなら良いのだけど…。
私は両手を床に着き、何とか体を起こそうと腕に力を入れた。その時だ。急に目の前に光が差し込み、辺りが明るくなる。
余りの眩しさに目を開けている事が出来ず、咄嗟に瞳を細める私。しかし、光の向こうに誰かの気配を感じて私は必死に目を凝らした。暫くすると目が光りに慣れ、相手の姿が認識できるようになる。そして、自身の目に飛び込んで来た人物を見て、私は言葉を失った。
「どう…して、お前が」
相手も私の姿を確認するなり、驚いたように瞳を見開いている。
(どう、して…?どうして貴方が…此処に――)
――“沢田さん”!
◇ ◇ ◇
幻騎士との激戦の末、勝利した綱吉達は、ついに目的の場所…白くて丸い装置へと辿り着いた。
「これがオレ達の目的」
「うん。正一の装置だ」
綱吉はグッと拳を握り締める。これで全てが終わる。この装置さえ破壊すれば、全てが―…。
「待て」
その時だった。凛とした男の声が辺りに響き、綱吉達は一斉に振り返る。そして…愕然とした。
「まさかあの幻騎士を倒すとは…計算外だった」
何故なら彼らの前に現れたのは綱吉達が標的とし、この基地に潜入する最大の目的になった人物。
「入江正一!!!」
瞬時に拳を振り上げ、グローブに炎を灯す綱吉。
「待ちなさい沢田綱吉」
戦闘態勢に入った綱吉を静止したのは入江の部下のチェルベッロの二人。
どうしてお前達が入江の傍に!?彼女達を良く知る綱吉は当然混乱する。
「先ずは拳を下ろして貰おう。話はそれからだ」
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