名前を連れ出す事何て。
リボーンの纏(まと)う雰囲気が少しだけ鋭いものへと変わるのを綱吉は見逃さなかった。彼もまた苛立っているのだ。自分の知らぬ所で大事な名前を連れ出した、この時代の“雲雀恭弥”に…。
「心配か?」
それなのに、まるで自分はそうではないと言いたげなリボーンの言動に、綱吉は不快感を示す。名前の事が心配なら素直にそう言えば良いのに…。
「当たり前だろ」
自分が名前を心配するのは当然の事だ。何せ相手は綱吉が惚れた相手。心配しない訳がない。
それに気に食わない事は他にもある。どうして子供のランボ達までが。
この時代の雲雀の真意が分からず、苦痛の表情を浮かべる綱吉の前方で突然、隔壁が閉まり出す。
「スパナ!」
これまで閉じかけた隔壁を操作してくれたスパナに「あれも頼む!」と彼を振り返ったが、
「あれは隔壁じゃない!ウチには操作不可能だ」
予想外の反応が。スパナの返答に、焦りの色を浮かべる綱吉。あれが閉じれば先へは進めない。そうなれば皆や、名前を助ける事だって――!
(出来なくなるっ)
綱吉はグローブに灯る死ぬ気の炎を強くし、一気に隔壁を突破する。そして、自身に巻き付いているロープを手にし、スパナを引き寄せたのだ。
間一髪の所でスパナも隔壁を通過。スパナの無事を確認した後、綱吉は直ぐに辺りを見回した。
「こんな所に縦穴?」
同様に辺りを見回したスパナが不思議そうに首を傾げる。彼の言う通り、そこは何処までも続く高い縦穴が広がっている空間で、スパナの話では、彼の知る基地の構造とは違っているらしい。
「入江の仕業だな」
「入江の?」
「嗚呼。獄寺の情報では、奴は基地の中を自由に動かせるらしい」
「……凄い!流石、正一らしい仕掛けだ」
スパナが感心したように声を上げた瞬間、上空から巨大なブロックが自分達めがけて落ちて来た。綱吉はそれを回避しながら更に上を目指す。
けれど彼らを阻む生涯はそれだけでなかったのだ。突如、前方に晴の炎を纏った匣兵器が姿を現す。しかし、あの姿は何だ!?食虫植物?いや、そんなレベルの物じゃない!
「………」
だが綱吉は怯まなかった。炎の出力を更に上昇させ、自身の何十倍もある植物に向かって行き、
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