「ツナ…草壁から緊急通信が入ったぞ」
「え?草壁さん!?」
第4ドック。スパナの協力もあり、完成したX BURNERでジンジャー・ブレッドとアイリス率いる死茎隊に勝利した綱吉。
そんな彼の元に、雲雀の部下である草壁からの一報が届いたのは、勝利後暫く経っての事だった。
珍しく神妙な顔をするホログラムのリボーンに綱吉はゴクリと息を飲む。
「何かあったの?」
「連絡によると10年前の雲雀が研究室近くの部屋で戦っているらしい」
「え?10年前の!?」
雲雀まで入れ替わっていた事に綱吉は驚く。けれどリボーンの口からは更に驚く事が告げられた。
「しかも他の連中まで来ちまってるらしいんだ。そっちに居るのはラルや獄寺、山本・了平だけじゃねー。雲雀と草壁の他にクローム・ランボにイーピン。そして名前だ」
「!!!」
どうして!?どうして名前達までが此処に!!
「詳しい話は後だ。これで研究室の位置は掴めそうだが、かなりヤバイらしい。幻騎士とか言う奴と戦って、雲雀の匣がとんでもない事になってる上に、名前が……」
そこで何故か言葉を詰まらせるリボーン。綱吉は即座に続きを促した。
「名前さんがどうしたんだよっ、リボーン!?」
リボーンは暫く黙り込んだ後、スッと漆黒の瞳を細めて綱吉を見上げる。
「落ち着いて聞けよ、ツナ…。名前が……その幻騎士って奴に――」
“さらわれた”
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になって…。それと同時に全身の血の気が引いて行き、体がガクガクと震え出す。
勿論、その震えが何の為か綱吉自身分かっていた。これは“怒り”だ。名前の傍で、守る事が出来なかった自分への怒り。
けれど今は自分の不甲斐なさを恥じている時ではない。さらわれた名前の身になってみろ。きっと不安で押し潰されそうになっている筈だから。
(名前さん)
綱吉はぎゅっと拳を握り締め、前を見据える。
「助けに…行かなきゃ」
不意に名前の顔が脳裏に浮かんだ。この顔を悲しみに歪(ゆが)めてはいけない。彼女には何時も笑顔でいて貰わなければ。だってそれが…綱吉の好きになった名前だから。
「随分ボスらしい面になって来たじゃねーか」
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