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85.目覚め ****


群れていた部下にクビを通達。何というか実に雲雀さんらしい。草壁さんも一瞬動揺しているようだったが、それ所ではないと察したのだろう。



「恭さんっ、リングの炎です!匣で応戦を…っ」



確かにこの状況での打開策があるとするのなら、それは雲雀さんしかありえない。だけど過去から来たばかりで、全く状況を把握していない彼では…無理だ。草壁さんもそれは分かっている筈。



「…リングの炎?匣?」

「そうです!リングの炎です!!」



それでも僅かな望みに掛けるしかない。少しで良い。少しで良いからリングに炎が灯れば、足元に落ちている匣を開ける事が出来るかも知れない。



「匣が何かは知らない……けど――“リングの炎”。跳ね馬みたいな口振りがイラつくな…」

(跳ね…馬?それってディーノさんの事じゃあ)

「あの男も、これからの戦いで重要になるのはリングの炎だと煩くてね」



雲雀さんは私をその場に座らせると、自身の指に填めたボンゴレリングを見つめた。その刹那、リングが激しく輝き出し、


ボウウ。


紫色の炎を灯す。しかしそれは、これまで見たどの炎よりも濃く、大きな光を放っていて。私達を圧倒させるものだった。

余りに大きな炎に言葉を失う私。そんな私を雲雀さんは静かに見下ろす。



「…貴女が何者かは知らないけど、借りた借りは…返させて貰うよ」



そして、同じように言葉を失う草壁さん達を振り返り、不機嫌そうに彼はこう言い放ったのだ。



「…君達なんて…来なくても良かったのに…」



目覚め


(炎は更に輝きを増す)


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