驚き、振り返ると、
「…貴方に守られる義理はないよ。…勝手な真似をしないでくれる」
雲雀さんの姿が――。
「なっ、雲雀さん!!私から離れて下さいっっ」
慌てて彼から離れようとするも、雲雀さんは私の手を掴んだまま離そうとはしてくれない。駄目だ。このままでは雲雀さんまで巻き込んでしまう。
(何とか…しないと)
私は拳を握り締める。こうなったら無理矢理にでも歌姫の力を引き出すしかない。それしかこの人を守る方法はないから。
そう思い、最後の力を振り絞って片手を胸の前に翳(かざ)そうとした…次の瞬間――!ヒュッと“何か”が目の前を通り過ぎた。直後、その“何か”は私達を守るように周囲を取り囲んで…。
ドオオオン。
近くで爆音が響く。けれど全く痛みを感じない。一体何が起きたのか。混乱する頭で辺りを見回すと、そこには歪な形の、兵器のようなものが私達を包み込んでいて…。
「こ、れは…」
「…たく、無茶な事すんな。この…バカ名前が」
「!!」
聞き覚えのある声が耳に届く。逸(はや)る気持ちを押さえきれず、弾かれたように顔を向ければ、
「へ、借りは返したぜ、雲雀…。つっても、てめーじゃ分かんねーか」
「獄寺さん!!」
そこには仲間の姿が。勿論、彼だけではない。
「ランボさん登場!」
「恭さん!名前さん!!」
ランボ君や、草壁さん、皆さんの姿があって…。また会えた嬉しさに、ジワリと涙が溢れ出した。
でも喜ぶのはまだ早い。
「助っ人か。死に損ないでは役に立たんぞ」
「コイツっ…誰が死に損ない――、つっ…」
「獄寺さん!!」
草壁さんに担がれた獄寺さんはズルズルとその場に蹲(うずくま)り、直後、荒い息を吐きながらクロームさんまで座り込んでしまう。笹川さんは気を失い、山本さん達も戦闘不能のまま。最悪の状況に代わりはないのだ。
それは草壁さんも感じている筈。入れ替わった雲雀さんを見て、愕然としているようだったから。
「草壁哲矢」
その時、私の隣に居た雲雀さんが突然、口を開いた。この状況で何を言うのかと思いきや…、
「…何時群れて良いと言った…。…君には風紀委員を退会して貰う」
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