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84.参戦 風紀委員長


私は自分の目を疑うしかなかった。だってあれは、あそこに居るのは…。


自身が助けを求めた“雲雀恭弥”なのだから。


だけど、あれはどうみても10年前の姿だ。どうして…?どうしてこんな時に入れ替わり何て…。



「…ワオ。これは一体どういうトリックかな?僕は学校の屋上で昼寝をしていた筈なんだけど」



雲雀さんは不思議そうに辺りを見渡し、瓦礫の山から降り立つと、私と幻騎士を交互に眺めた。でも幻騎士を視界に入れた途端、スッと瞳を細め、



「ねえ、君……並中なら、その眉は校則違反だ」



風紀委員の仕事を始めたのだ。これには流石の幻騎士もア然とする。けれど雲雀さんは「まあ良いさ」と呟き、今度は私に視線を移した。厳密には私の膝でぐったりとする“山本さん”に…だ。



「しかし何故、行方不明だったうちの生徒が貴女の膝で倒れてるの?…貴女の仕業……ではなさそうだね。となると…」

「山本武は俺が屠った」



そう言って自ら宣言した幻騎士を、雲雀さんはゆっくりと振り返る。



「…ふーん…君が…」



全身から漂う覚えのある殺気に私は身体を強ばらせた。この感じ…10年後の雲雀さんと同じだ。



「じゃあ話は早い。君の行為を並中への攻撃とみなし、僕が制裁を加えよう」



見ると雲雀さんの手には銀色に光るトンファーが。もしかしなくても彼は幻騎士と戦うつもりだ。

だけど、相手はこの時代の雲雀さんでも苦戦した幻騎士。過去から来たばかりの幼い雲雀さんでは、歯が立つ筈がない!



「行くよ」

「待って下さい!!」



幻騎士に向かって行く雲雀さんを咄嗟に呼び止めるが、既に遅かった。

雲雀さんの攻撃が幻騎士に届くよりも先に、幻騎士が雲雀さんを攻撃。彼は剣を抜く事なく、柄の部分だけで雲雀さんを弾き飛ばしたのだ。飛ばされた雲雀さんは衝撃で背後の瓦礫へと激突する。



「雲雀さん!!」

「雲雀恭弥といえど、小童では話にならん」



ガラガラと瓦礫をかき分け、ひょこりと顔を覗かせた雲雀さんは、まるで拗ねた子供のように口を曲げて幻騎士を睨みつけた。対する幻騎士も冷めた眼差しで睨み返す。



「この時代の雲雀恭弥が歌姫を守る為、自発的に過去の自分を送り込んだのかと思ったが、やはり考え過ぎだったようだ」


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あきゅろす。
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