本来なら酷く驚く光景だろう。でも此処は幻騎士の作った幻覚世界。あんな芸当はお手の物だ。
「成る程、出来る。貴様なら、俺の好敵手になりえるかも知れんな」
「…それはどうだろうね。僕の好敵手には、そう簡単にはなれないよ」
雲雀さんは匣を取り出し、幻騎士に引き裂かれて散り散りになった雲ハリネズミを匣へと戻す。
「君にその資格があるかは、まずその横行な霧の幻術を解いてからだ」
それから新たなリングを填め直し、今度は同じ匣を二つ同時に開匣した。
勢い良く飛び出した二匹の雲ハリネズミ達。彼らは幻騎士の作った幻覚世界を縦横無尽に動き回る。その際、辺りの景色が削り取られたように見え私は自分の目を疑った。
そんな私の横を、トンファーを手にした雲雀さんが駆け抜けて行く。
「君の幻覚は、君の頭の中の想像を映像化したものだ。つまり、映像処理が間に合わない程の負荷を君に与えたなら…」
そして匣で作った足場を上り、幻騎士の目前まで迫ると…ガキン!一気に攻撃を仕掛けた。瞬間、回避しようとした幻騎士の足下の幻覚が綻び、それを見た雲雀さんは愉快そうに笑みを浮かべる。
「君の幻覚は崩壊する」
最強 VS 最強
(こうして新たな戦いが幕を開けた)
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