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81.最強 VS 最強 ***


それを見た雲雀さんの表情が一変。同時に、グッと私を抱き寄せ、空高く飛び上がったのだ。

その刹那、私達の立っていた場所から激しい爆発音が響く。一体何が起きのか。困惑しながら下を見下ろしていると、今度は真横で爆発が…!!

しかし、それは私達に直撃する事はなかった。何故なら、雲雀さんの雲ハリネズミが盾となって私達を守っていたから。



「良くも見えぬ筈の攻撃を……。まぐれか」



スタッと床に降り立つ私達に、腰に提げた二本の剣を手にした幻騎士が向かって来る。――でも、



(消えた!?)



突然、霧のように姿を消す幻騎士。辺りを見回しても彼の姿は何処にもない。一体何処に…?そう思った次の瞬間、背後でガキンという金属のぶつかり合う音が響いた。

見ると、左腕を上げ、手にしたトンファーで幻騎士の攻撃を防いでいる雲雀さんの姿が…。



(いつの間に上空から攻撃を!?それに幻騎士は霧の幻術で姿を消していた筈。なのに雲雀さんはどうやって彼の攻撃を察知する事が出来たの?)



そんな疑問を抱いたのは私だけではなかった。
それまで顔色一つ変える事のなかった幻騎士の表情に、僅かながら困惑の色が見えたからだ。



「幻術には詳しいんだ。“嫌い”だからこそね」



そう言って笑みを浮かべる雲雀さん。――直後、真横から凄まじい音と共に、幻騎士めがけて何かが突進して来る。

ハッとして上を見上げると、そこにいた筈の幻騎士の姿が……ない。代わりに、横の壁に球針態が突き刺さっていて。



「名前、怪我はない?」



平然と訊ねる雲雀さんの指元で、パリンとリングの砕ける音がした。私は頷く事も出来ず、ただただ瞳を見開くばかり。

あっという間の出来事で何が起こったのか全く分からなかったけれど、雲雀さんが幻騎士を倒した…と言う事だろうか?



(でも、相手はマーレリングを持つ6弔花)



そう簡単に倒されてくれる訳が……なかった。


『キュウウ!!』


案の定、上空で雲ハリネズミの鳴き声が響き、ブシャアと球針態が引き裂かれる。引き裂かれた間から幻騎士が飛び出し、彼はそのまま天井へと移動した。そして、何もない空間でまるでコウモリのように逆様にぶら下がり、私達を見下ろす。


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あきゅろす。
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