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81.最強 VS 最強


――匣兵器実験場。そこで“一つの戦い”が終幕を迎えようとしていた。

床に倒れ伏すのはボンゴレ雨の守護者・山本武。
そんな山本を冷たく見下ろす人物こそ、山本を倒した男――ミルフィオーレ・ブラックスペル所属の“幻騎士”だった。



「最後に遺言を聞いてやろうと思ったが…口をきく事も出来ぬようだな。――今、楽にしてやる」



幻騎士は山本の傍らに立つと、腰に提げた剣にゆっくりと手を伸ばす。

しかし喋る事も出来ない筈の山本が微かに動いたように見え、幻騎士がふっと視線を上げると、



「やま…も、と…」



山本の足に雲ムカデを巻き付け、ズル…ズルと自分の元に引き寄せるラル・ミルチの姿が見えた。



「無駄な事を」



幻騎士は鞘(さや)から剣を抜き取り、そのまま真っ逆様に振り下ろす。

雲ムカデを断ち切られた衝撃でラル・ミルチは再び気を失い、幻騎士も山本へ視線を戻した。対する山本もそんな幻騎士を虚ろな目で見上げる。



(く、そ…もう、目を開けてらんねぇ…どんどん意識が…遠ざかってく)



立ち上がってもう一度この男と戦いたいのに身体が言う事を聞かない。



(ツナ、小僧…みん、な――すま、ねぇ、、)



薄れゆく意識の中、仲間と、出会って間もない名前の姿が脳裏を過ぎる。



(…何でアンタの事まで…思い出すんだろうな)



否、寧ろ誰よりも名前の顔が鮮明に浮かぶ。勝てなくてゴメン。守れなくてゴメン。山本は何度も謝罪を繰り返しながら、力なく瞳を閉じた。



「――ボンゴレ雨の守護者よ…。貴様に敬意を表し、我が剣、最高の太刀で葬ってやろう…」



そう告げながら再び手にした剣を振り上げる幻騎士。瞬間、彼の剣が霧の炎を纏(まと)い始め、



「さらばだ」



その刃が山本へと一直線に振り下ろされようとした時、異変は起こった。


ピキキキッ。


幻騎士の真横の壁一面に突如走った無数の亀裂。直後、ドーンッと言う爆音が響いて、壁が――粉々に粉砕したのだ。辺りに砂煙が舞い上がる。





「嗚呼、君…丁度良い」





瞬間、煙の中から男の声が響く。驚き、振り向いた幻騎士の目に飛び込んで来た人物。それは?





「――白くて丸い装置は、この先だったかな」


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あきゅろす。
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