「必要ない」
返って来たのはそんな台詞。私は隣を歩く雲雀さんを見上げたまま、不思議そうに首を傾げる。
(マップも持たないままで、どうやって目的の場所に行くつも何だろう)
そんな疑問を抱きつつ、雲雀さんの後を付いていくと、彼は“ある壁”の前で立ち止まった。それから「確かこの方角だね」と呟きながら、突然匣兵器を取り出したのだ。
「雲雀さん!何を!?」
「そんなもの(マップ)無くてもどうにでもなる」
慌てる私を後ろに下がらせ、雲雀さんは指に装着したリングに炎を灯す。
「…目の前に立ち塞がるものがあるのなら――」
そして、カチッとリングを匣に差し込み、
「――壊せば良いんだ」
目の前の壁に向けて、その匣を……解き放った。
標 的
(目指すは“白くて丸い装置”なり)
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