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80.標 的 ***


「でしたら準備室のコンピューターで静脈認証さえすればダウンロード出来ます」



『静脈認証』それを聞いた途端、ニコラの表情が一変する。悩むように手を顎に添え、次の瞬間。



「…はて――困った」



手前の部下を攻撃した。

彼の手にはいつの間にか武器が握られており、その武器で男の腹を突いたのだ。攻撃を受けた男は呻(うめ)き声を上げながらその場に倒れ込む。



「ニコラ隊長!何をっ」



それを目にしたもう一人の下級隊員は困惑したようにニコラを見つめ、そして言葉を失った。何故ならニコラの身体半分が消えかかっていたから。

消えかかった場所からは藍色の炎が漂い、ニコラの姿が完全に消え失せると同時に、男の前には一人の少女が姿を現す。



「な、何なんだ!!!」

「…ゴメン、」



三叉槍を手にした少女は迷う事なくもう一人の男も攻撃し、気絶させた。



「…ゴメンね…」



倒れる二人に再度謝罪し、少女――クロームさんは私達を振り返る。



「これで新しいマップが貰える……と思う」

「おお!!やりますね、クロームさん!」



草壁さんは歓喜の声を上げながら横たわる隊員の元へと駆け寄り、そして彼らの持つ端末を確認して、OKサインを出した。

良かった。これで私達が今どの辺りに居るのかが分かる。それに沢田さん達の居場所だって…。



「それじゃあ早速沢田さん達の捜索に向かいましょうか。先ずは今皆さんが何処に居るのか情報収集からですね。――クロームさん体調の方は?」

「大丈夫」

「じゃあ行きましょうか……って、恭さん?」

「…沢田綱吉達の事は君達に任せるよ」



そう言うと雲雀さんは一人で先へと進んで行く。



「恭さんどちらへ!?」

「…僕は自分のやるべき事をやる。……名前、君は僕と一緒に来るんだ」

「私も…ですか?」

「嗚呼」



雲雀さんは一瞬だけこちらを振り返った。彼が何処に向かおうとしているのかは分からないが、恐らく私に拒否権はない。



「分かり…ました」



だから小さく頷く。その返答に雲雀さんはフッと口元を緩め、それから徐に右手を差し出した。



「じゃあ行くよ」

「はい。あ、雲雀さんその前にマップを――」



まだ草壁さんからマップを受け取っていない事を思い出し、雲雀さんにその事を告げたのだが、


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