私達は大きく頷く。言われなくても頑張るに決まってる。仲間の身に何かあったのなら尚更だ。
(無事で居て下さい)
沢田さん、獄寺さん、山本さん、笹川さん、ラル・ミルチさん。必ず皆さんの元に行きますから!
◇ ◇ ◇
――とは言ったものの、私達は途方に暮れていた。何故なら、渡された端末のマップが全く使い物にならないからだ。
それもその筈。何と基地内の施設の配置が見事に変わっているのだ。これは一体どう言う事なの?
有り得ない状況に誰もが言葉を失う中、一人だけ冷静に分析している人物がいた。一番後ろを歩いていた雲雀恭弥さんだ。
「…どうやら、この基地には“面白い仕掛け”が施されてるみたいだね」
「面白い仕掛け?」
私は雲雀さんを振り返りつつ、首を傾げる。
だって施設の配置を変える事がそう簡単に出来るだろうか?それも一つや二つではない。全ての施設の全ての配置を変えているのだ。そんな事を可能にする方法が本当に?
「詮索は後にしましょう。今は新しいマップを手に入れる事が先決です」
「それなら考えがある」
そう呟きながらクロームさんがある方角を指し示す。その指の先には二人のミルフィオーレの隊員の姿が…。一体彼女は何をするつもり何だろう?
◇ ◇ ◇
「ちょっと良いかな」
突然廊下の向こうから声を掛けられ、基地の警護にあたっていた二人の隊員は同時に振り返った。
そこには傷だらけでこちらに向かって来る四人の隊員の姿があり、しかもその先頭にいたのは、
「ニコラ部隊長殿!!」
敵アジトの偵察に向かった部隊長のニコラだった。相手が上司だと分かり二人は直ぐに姿勢を正す。そしてニコラ達の様子を見て、眉を顰めた。
「負傷されたのですか」
「嗚呼、この様でな。だがボンゴレアジトが陥落するのも時間の問題だ」
それを聞き「そうですか」と安堵の息を吐く二人。
「しかし何故此方へ?」
「うむ。入江様の命で私は医務室で待機だ。――だが、端末のマップが全く役に立たなくてな。どうなっとるんだ?」
「基地内の施設の配置が変わったんです。入江様が基地自体に特殊な構造を施していたらしく…」
「成る程、そうだったか…。――悪いが新しいマップをくれないか?」
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