雲雀さんの開匣した匣兵器・雲ハリネズミが巨大化した事によって、瞬く間に四方の壁は崩壊。辺りは瓦礫の山と化した。
ミルフィオーレ部隊は瓦礫の下敷きとなり、私と雲雀さんは、咄嗟に私が発動させた『光の壁を出現させる・守りの歌』によって無傷。落ちて来た瓦礫が私達を避けるように周りに散乱していた。
「…はあ…はあ…」
崩れが修まるのを確認した後『守りの歌』を解除する。瞬間、身体の力が抜けて、私はその場に座り込みそうになった。
「…無茶し過ぎだよ」
そんな私を支えてくれたのは隣に居た雲雀恭弥さん。私は雲雀さんの腕に掴まりながら息も絶え絶えに、こう口を開く。
「…む、ちゃ…なのは…雲雀……さん…です」
全く私達まで瓦礫の下敷きになっていたらどうするつもりだったのやら。
「…そう?…それにしても、さっきの力は初めて見たけど、随分体力を消耗するみたいだね」
「…は、い…少、し」
実際には“少し”所の話ではないのだが、それでも心配を掛けたくなくて、私は無理矢理作った笑顔を雲雀さんに向けた。
でも、やはりこの人には見破られてしまう訳で。
「………」
「雲雀、さん?」
急に黙り込む雲雀さんを訝しく思い、徐に顔を上げた瞬間、何故か身体がフワリと浮いた。
「痩せ我慢しても無駄」
「ちょ、雲雀さ…///」
「…今は大人しく僕に抱かれてるんだね」
雲雀さんは私を抱き上げたままスタスタと歩き出す。いやいや。大人しく何て出来る訳がない。
「ひ、雲雀さんっ、私なら大丈夫!!大丈夫ですから降ろして下さい///」
「嫌だ」
「い、嫌だって…」
駄目だ。私がどんなに拒否しても、この人は一度言い出したら聞かない人だから、もう諦めるしかない。私は小さく溜息を吐いて大人しくする。そんな私を何故か不思議そうに見つめる雲雀さん。
「……今日は随分大人しくなるのが早いね」
「何を言っても無駄だって分かってますから//」
私は赤く染まった頬を見られないよう、雲雀さんの胸に頭を預ける。
「…懸命な判断だよ。それに、君にはもう少し付き合って貰うつもりだからね。……休める内に休んで置いた方が良い」
「え?」
そんな話は初耳だ。アジトにも戻らず、一体何処に行くと言うのだろう。
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