ドカバキドガドガ。
話の最中も、雲雀さんは攻撃の手を休める事はない。まあ、休めると逆にこちらが殺られてしまうから当たり前なのだが、それにしても器用に戦うなと感心してしまう。
(いやいや。今は呑気に感心をしている場合ではありませんね)
さっき感じた妙な違和感。本当に気の所為なら良いが、でも“あの感覚”には前に何度か覚えがある。まさか沢田さんや獄寺さん達の身に何か!?
(前にリボーンさんから、歌姫は守護者と繋がりが深い分、彼らの危機を敏感に察知する事があると聞いた事があります)
もし、さっきの嫌な感じが彼らの危機を知らせる予兆だったとしたら?
一度浮かび上がった疑念は拭い去る事が出来ない。皆の安否を確かめられれば問題ないのだが、今の私には無理。あのファントムと言う敵の乱入で、電波状況が悪くなっている所為か、リボーンさんと連絡が取れなくなっているのが原因だった。
(何とかアジトと連絡を取る方法を考えないと)
そこで思い浮かんだのは、私達の周りを取り囲んでいる敵の存在だ。やはり彼らを倒さなければ道は開けないと言う事か。
しかし、事態はそう簡単なものではなかった。
「…全く、何度やられれば気が済むんだい」
雲雀さんが呆れるのも無理はない。ファントムと言う敵。彼らは何度倒されても起き上がり、直ぐに私達に向かって来る。倒れては起き、倒れては起きの繰り返し。これには流石の雲雀さんも少々げんなり気味のようだ。
「あの雲雀さん。やはり私の力を使ってはどうでしょうか?流石に眠らせてしまえば彼らも起き上がれないと思いますし」
「………」
そんな私の提案に雲雀さんは少しだけ思案しているようだった。これはもしかしたら任せて貰えるかも知れないと、ドキドキしながら雲雀さんの返答を待っていた時だ。急に辺りが騒がしくなる。
「戦況はどうなっておるのだ!!」
隊員達の間を縫って私達の前に現れたのは、ホワイトスペルの隊服を纏った体格の良い男性だった。どうやら隊長格のお偉い方のようだ。隊員の一人が「ニコラ隊長!!」と呼ぶのが聞こえた。
その人は雲雀さんの周りに倒れている部下の姿を目にして、苦虫を噛み潰したように顔を顰める。
「くっ…、何をもたついておる!二人を相手に何たる様だ!!さっさと始末をつけんかっっ」
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