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78.守護者と歌姫


それは了平がバイシャナを倒し、入江の研究施設に向かっている最中の事だった。突如メローネ基地を大きな揺れが襲う。



「何だこの揺れ!?」

「地震か!??」



足を踏ん張り、その揺れに耐える獄寺と了平。しかし、揺れは納まる所か更に酷くなるばかりだ。しかも、最悪の事態はそれだけではなかった。


ガシャン。



「うわっ」



背後で響いた山本の叫び声に獄寺達が振り返ると、何と彼の立っていた場所の床が物凄いスピードで急降下していたのだ。



「いかん!」

「山本っ!!!」



獄寺は身を乗り出し、咄嗟に手を差し出す。



「掴まれ!山本っ」

「獄寺!!」



だが山本は、彼が背負うラル・ミルチと共に更に降下を続ける。それでも諦めず手を伸ばし続ける獄寺。しかし天井から別の防壁が獄寺に迫って。



「――手遅れだ!腕を持って行かれるぞっっ」



見かねた了平が獄寺の腕を掴んで止めさせようとした。けれど獄寺はその手を払い、再び山本に向かって左手を伸ばす。

しかし、その手が山本に掴まれる事は無かった。

壁が降りきる直前、間一髪の所で手を引いた獄寺。ガシャンと言う機械的な音と共に、獄寺達の前には新た防壁が出現する。山本の姿は完全に壁の向こうへと消えていた。



「くそ!よりによってこんな時に地震とはよっ」

「これでは直ぐに山本と合流できそうにないな。――仕方あるまい。作戦に集中するぞ。あの扉は白くて丸い装置の…」



部屋の筈――。了平の言葉はそう続く筈だった。しかし彼の言葉を遮るように、二人の進む先の扉が開き始める。まるで彼らを誘導するかの如く。

そして、開かれた扉の先に立っていた人物を目にして、獄寺は息を飲んだ。見間違う筈がない。あれはっ、あの男は…っ。



――“電光のγ”。




◇ ◇ ◇


「!!」



妙な違和感を感じて私は背後を振り返った。



(――何、だろう。今…凄く嫌な感じがした)

「…どうかしたの?」



そんな私の様子に気付いた雲雀さんが声を掛けて来る。戦闘中だと言うのに、良く気付くものだ。



「あ、いえ。大した事ではないんですけど、何だか嫌な感じがして…」



ドカバキドガドカ。



「…嫌な感じ?」

「はい。私の気の所為なら良いのですが…」


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