77.逆 襲 ***
ガキン。激しい衝突音。雲雀さんのトンファーと突如、彼の前に現れたファントムの剣が交差する。雲と晴。二色の炎がぶつかり合う様は暗闇の中でも良く分かった。
「でも…結果は同じ」
ググッと相手の剣を押し返し、雲雀さんはふっと笑みを深める。そして剣を受け止めていない方のトンファーを振り上げ、
「全員……咬み殺す」
相手を殴り飛ばした。攻撃を正面に受けた敵はバタリと地面に倒れ伏す。
「さあ、次は誰?」
そう言って辺りを見渡す雲雀さんは……実に愉快そうな表情をしていた。
◇ ◇ ◇
一方、メローネ基地内部。まるで苦虫を噛み潰したような顔で廊下を突き進むのは、この基地の総司令官・入江正一だ。
ボンゴレアジトの強襲は失敗。それ所か逆に敵の侵入を許してしまうとは何という体たらく。おまけにスパナと戦ったボンゴレ10代目・沢田綱吉は未だ行方不明のまま。生存確認も出来ていない。
だが入江をここまで苛立たせている原因は他にあった。それは彼の研究施設付近で戦闘中の沢田綱吉を除く4名の存在だ。
彼らは現在、展示室でホワイトスペル・第7部隊のバイシャナと戦闘中。けれど先程バイシャナから受けた通信を見る限り、恐らく彼は既に倒されているだろう。そうなるとボンゴレが研究施設に辿り着いてしまう。
(それだけは何としても避けなければ!例えどんな手を使ってでも…だ)
部下であるチェルベッロを引き連れ、入江が辿り着いた場所は大きなモニターが設置された薄暗い小さな部屋だった。
中央には同じ形状の装置のようなものが二つ設置されており、片方に匣が。もう片方には丸い装置が嵌め込まれている。
「想定していたとは言え、白蘭さんに無理言って僕が設計した機能をこんなに早く使う事になるとはな。――始めよう」
入江はその装置の前に立つと、右手中指に填めたマーレリングに晴属性の黄色い死ぬ気の炎を灯し、その炎を装置の匣に注入した。そして入江は高らかに宣言する。
「さあ目覚めてくれ。僕の匣“メローネ基地”」
逆 襲
(随分遊んでくれたな、ボンゴレの鼠共。今度はお前達が“ボンゴレリングを狩られる”番だ)
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