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76.それぞれの戦い ***


私は胸の前で拳を握り締めた。リボーンさんの言う通りだ。何故かは分からないけど断言出来る。彼らは“無事”だと。

だから私は「はい」と頷いた。それを聞いたリボーンさんもフッと笑う。



『兎に角、今は自分の事だけを考えろ。名前にもしもの事があったらツナや了平達が煩せぇ』

「はい。善処します」

『勿論オレもだって事を忘れんなよ。お前はオレ達アルコバレーノの大事な“主”何だからな』



私はその言葉に再び頷いた。その後、直ぐに無線は切れ、ドカドカと雲雀さんが敵を薙ぎ倒す音だけが自身の耳に届く。



(大丈夫。皆は無事)



私は自分にそう言い聞かせ、大きく息を吐いた。

確かに敵アジトに向かった仲間の事は気掛かりだったが、今目の前にだって心配事はある。一人で大勢の敵に立ち向かう雲雀さん。少しでも彼の役に立つ為に私は此処に居るのだ。故に決意する。



(――機会を見て使えそうなら、必ず『歌姫の力』を発動させよう)



守られる為に此処に居る訳じゃない。彼と共に戦う為に、私は此処の場に立って居るのだから…。




◇ ◇ ◇


その頃、綱吉達はメローネ基地の地下8階に降り立っていた。狙いは警備システムのメインサーバーを破壊する事。既に目的地に到着し、準備も万全。何時でも突入できる体勢が整っている。

開けた扉の影に隠れ、中の様子を窺いながら了平がラル・ミルチに問う。



「どうする」

「オレが先行する。合図をしたら来い」



そう言い残し、颯爽と暗闇へ消えて行くラル・ミルチ。その後直ぐに「良いぞ」と言う合図が聞こえ、綱吉達が足を踏み入れようとした刹那。



「――待て!!!」



ラルの合図が一変。ただ事ではない彼女の様子に綱吉達は飛び出した。



「ラル!?」



中に入ると彼女は片腕を押さえつつ座り込んでいて…。どうやら何者かに攻撃されたらしい。



「ふふ。ランダムに増え続ける規則性を見破り、間一髪カウターを合わせるとは流石“アルコバレーノのなり損ない”」



突如、暗闇の中で少年の声が響く。直後、パチンと指を鳴らす音と同時に、部屋が明るく照らされた。そして綱吉達の前に…まるで魔法使いのような奇抜な格好をした人物が舞い降りて来る。



「その出で立ちはっ」



その者を目にしたラル・ミルチは声を上げた。



――魔導師の人形(マジシャンズドール)ジンジャー・ブレッド!!



それぞれの戦い


(例え離れていても心は何時も繋がっている)


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あきゅろす。
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