[携帯モード] [URL送信]
71.委ねられた 選択 ***


「お前は何か勘違いをしているぞ?確かに俺達にとって名前(歌姫)は守るべき存在だ。……だがな、その為にお前の考えや行動まで支配するつもりはない。お前の考えは…お前のモノだ。自分の思うようにすれば良い」

「……笹川さん…」

「但し、作戦への参加はボスである沢田が了承したらと言うのが条件だ」



沢田さんが拒否した場合は、大人しくこのアジトに残って欲しい…。そう言って笹川さんは困ったように眉根を寄せた。
本当はこの人だって反対したい筈なのだ。戦えない私が行った所で足手纏いになるだけだと…。
それでも私の想いを優先してくれる笹川さんの気持ちが嬉しくて…。私は「はい!」と頷いた。

作戦結構まであと5日。我らのボスがどんな決断を下すかは分からないが、私は自分に出来る事をしよう。小さな事でも良い。私に…出来る事を。











◇ ◇ ◇


「おッス!居たか雲雀」



名前と別れた後、イタリア土産を持って雲雀のアジトを訪れた了平…。「勝手に入らないで下さい!」と言う草壁の静止もお構いなしで、和室に足を踏み入れると、ドカリと雲雀の傍に座り込む。



「……君が此処に来るのは“沢田綱吉の決断後”と聞いていたけど?」

「そう思っていたのだがお前とは今まで中々会う機会がなかったからな。元はと言えば並盛中の同窓生。再会を祝して飲み明かそうと思ったのだ」



了平が持って来たのはイタリア土産のワイン。それを目にした雲雀はふいと視線を逸らし、直ぐに読みかけの本へと戻す。



「…僕は飲まないよ」

「何だとー!!貴様、俺が持って来た酒を飲めないと言うのか!」

「いえ、元々恭さんは洋酒を飲みませんから」



そうフォローを入れた草壁に「何だそうか」と了平は鼻で笑ってみせた。



「まだまだ子供だな」

「……飲めないんじゃない“飲まない”んだよ。君…日本語を理解出来てないんじゃないの?」

「何ー!!!貴様、昔と全然変わってないな。俺は極限にプンスカだぞ!」

「………君も何ら変わっていないね」

「何だとぉぉー!!!」



拳を握り締めて立ち上がると、雲雀の切れ長の瞳が了平を射抜いた。それを目にした了平はふっと瞳を閉じ、そして…冷静な口調で語り始める。





「アイツが――名前が『今回の作戦に参加したい』と言って来た」





雲雀の肩が微かに揺れる。けれど了平はそれに気付かぬ振りをして更に話を続けた。雲雀の機嫌が悪くなる事を覚悟して。


[←][→]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!