(そんなに心配しなくても大丈夫ですよ名前。もう方は付きましたから)
(方は付いた…て、じゃあさっきの反応は…!)
(ええ。君達の予想通り、ボンゴレリングを持った…クロームです)
私はハッと顔を上げる。
(骸さん、クロームさんは大丈夫何ですか!?)
(君の為にも『大丈夫』…と言って差し上げたいのですがね、相手が相手だったので少し無理をさせ過ぎました。…怪我もしているようなので手当をしてやって下さい)
(え?手当?)
(もう直ぐそちらに到着すると思いますよ…“あの男”と一緒に――)
次第に遠ざかって行く骸さんの声…。私は良く聞き取れるように、咄嗟に右耳に手を添えた。
(それまではその場を動かないように。良いですね名前。沢田綱吉にもそう伝えて置いて下さい)
(ま、待って下さい!骸さんは、これからどうされるんですか…っ)
(クフフ。少々取り込んでいましてね。…実はもう一つ、大きな仕事を控えているんですよ)
大きな仕事?私は訝しげに首を傾げる。まさか何か危険な事をしようとしているのではないか。急にそんな不安が込み上げ、真相を確かめようと口を開き掛けた次の瞬間。
「名前さん!!!」
「!!」
グッと両肩を掴まれた。私の肩を掴んだのは沢田さんだった。彼は私が小さく反応を示した事に安堵し、ホッと息を吐く。
「よ、良かった〜…。何回呼んでも返事をしてくれないから、何かあったのかと思ったよ」
「ご、ごめんない」
「…何かあったの?さっき骸の名前を呼んでたみたいだけど……」
そうだ、骸さん!私はもう一度耳を澄ませてみた。でも骸さんの気配はなく、声も聞こえない。彼は何をしようとしているのだろう。危ない事でなければ良いのだけど…。
「本当に平気ッスか?」
再び黙り込んでしまった私を、今度は山本さんが心配そうに見つめて来る。私は「大丈夫です」と二人に笑顔を向けた。
確かに骸さんの事は心配だけど、今は先ず、皆に彼からの伝言を伝えなければ…。そう思い「実は…」と話を切り出そうとした――次の瞬間。
ヴー…ヴー…
大きな音が辺りに響き、それと同時にモニターの画面が変化したのだ。
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