ピー…。
会議の最中、目の前のモニターに異変があった。ジャンニーニさんの話では、新たなリングの反応があったとの事だ。それも一瞬だけ…データにない強い反応のリングが。
「場所は何処ですか!」
「黒曜ランド周辺です」
「黒曜ランド!?――あの……“骸の居た”?」
沢田さんが驚きの声を上げる。だがジャンニーニさんの表情は優れない。
「但し、この辺りは電波障害が酷く、誤った表示の可能性も高いです」
「それなら、もう一度、黒曜ランド周辺のデータを分析するんだ」
「了解しました」
リボーンさんに言われ、データ分析を始めるジャンニーニさん。その間私は不安で一杯だった。もしリングの反応が本物だったと仮定して、その持ち主はどうなる?見方の可能性もあれば、敵の可能性だってあるのだ。当然そんな不安を抱いていたのは私だけではない。
「新たな敵かもな」
ラルさんも同じ事を考えていたらしい。彼女の言葉で獄寺さんや山本さんの間にも緊張が走る。
「――違、う…」
けれどこの中に唯一一人だけ違う考えを持った者が……沢田さんだ。彼はまるで何かを察知したかのように、こう叫んだ。
「違うよ。きっと仲間だ!ボンゴレリングを持った…クロームかも!!!」
◇ ◇ ◇
その後、急いでデータの分析が行われたが、情報不足の為、本物かどうかも分からないまま、時間だけが過ぎて行った。
「どうしよう!!もしクロームなら、こんな事をしてる場合じゃあ…っ」
「ですが10代目、確かな情報もなく出て行く訳には行きませんし…」
「でも本当にあの子なら早く助けに行かねーと」
彼らの意見は尤もだ。もし本当にクロームさんだったら…と彼女を心配する沢田さんと山本さんの気持ちも分かるし、確かな情報もなく無闇に動かない方が良いと言う獄寺さんの意見も分かる。
だから今は一刻も早いデータ分析が必要だった。早く、早くと焦る気持ちを押し込めるように私は胸の前で手を組んだ。
(…フ……クフフフ)
その瞬間だ。頭の中で声が響く。それも聞き覚えのある独特の笑い声。
「…む…くろ…さん」
「――骸?…名前さん、骸がどうかしたの!!」
私の異変に気付いた沢田さんが心配そうに声を掛けて来る。でも私自身は頭の中で響く彼の声に集中していて、周りの音が聞こえて居なかった。
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