「あるの!?」
「…はい。この写真に写っています」
沢田さんの問いに頷きながら草壁さんが取り出したのは、中央に大きくヒバードの写った写真。
一体これの何処に手掛かりが…?と目を凝らしてみた瞬間、写真の隅に何か“白い生き物”が写っているのを発見した。
え?え?まさかこれが……骸さんだと言うの!
◇ ◇ ◇
一方、同時刻の黒曜ランド。何も分からぬまま未来へと飛ばされた少女……クローム髑髏は、六道骸を倒したと言われる男、ミルフィオーレ第8部隊隊長グロ・キシニアと退治していた。
しかし、その圧倒的な力の差に為す術もなく、愕然とするクローム。退路を断たれ、地下へと追い込まれた彼女は、迫り来るグロ・キシニアの恐怖に小さく震えていた。
(――大丈夫ですよ。…僕の可愛いクローム)
そんな彼女の脳裏に、希望の声が届く。クロームがこの世で最も信頼する人物。六道骸の声だ。
「骸様!何処っっ」
クロームは必死に骸の気配を探した。そんなクロームの姿をグロ・キシニアは満足そうに眺める。
「ふっ、良い声だ。…だが骸は来ないぞ。来られれば、とっくにお前の身体に実体化している」
グロ・キシニアの言葉を無視し、尚も骸の姿を探すクローム…。
(――いいえ。此処に居ますよ。…さっきから……お前の“後ろ”に)
クロームは弾かれたように後ろを振り返った。彼女の瞳に映ったのは気色の悪い笑みを浮かべたグロ・キシニアと彼の匣兵器、雨フクロウ(グーフォ・ディ・ピオッジャ)
青い炎を纏った雨フクロウにクロームの瞳は釘付けになる。刹那、雨フクロウの右目に亀裂が入り
パリン。
砕け散ったと同時に浮かび上がる『六』の文字。
(行きますよクローム)
骸の声と同時にフクロウの纏った炎が青から藍色……インディゴに変化。それを目にしたグロ・キシニアは「馬鹿なっ」と顔面を蒼白させた。
「瞳に宿る『六』の文字!六道骸なのかっっ」
「……フ………クフフフ。君の状況把握の早さは一目を置くに値しますよ。グロ・キシニア」
隙を突いてクロームを上に逃がし、六道骸はグロ・キシニアと退治する。
「こんな下らん話があってたまるか!六道骸が憑依する能力を有しているのは知っているが、まさか匣に、しかも何の切っ掛けもなく――!!」
そこまで口にした後、グロ・キシニアは半年前の骸との一戦を思い出す。もしや前回の戦闘で…!
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