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69.霧の真実 **


「…此処へ来るのかい」

「まだ分かりませんが油断は禁物。この情報は沢田側に提供すべきかと」

「…任せるよ。確かあれの写真があった筈だ」

「へい。ヒバードとの撮影に成功した物が一枚」



ヒバード?撮影?何の話をしているのかさっぱり分からない。でも私が口を挟む訳には行かないから黙っていると、庭の方から小鳥の鳴き声が…。



(ヒバード?)



パタパタと小さな羽を羽ばたかせ、室内に入って来た黄色い小鳥は、そのまま雲雀さんの方へと向かって行き、ポスリ。彼の頭の上に……乗った。

私はパチクリと瞬きを繰り返し、その様子を見つめる。何と言うか…実に微笑ましい光景だ。で、でもどうしよう。笑いが止まらない、かも…。



「名前…さん?」

「……ふん…」



顔を背け、必死に笑いを堪える私を草壁さんは不思議そうに見つめ、対する雲雀さんは不機嫌そうに瞳を閉じるのだった。




◇ ◇ ◇


その後、草壁さんと共にボンゴレアジトに戻って来た私。これから緊急の会議が開かれるらしい。議題は恐らく、雲雀さんと草壁さんが話していた内容について。沢田さん側にも情報を提供すべきと話していた位だから。

けれど、草壁さんの口から出た“ある人物”の名前に私は瞳を見開く。



「六道……骸」

「――はい。彼に…動きがありました」



それは此処数ヶ月、私がずっと身を案じていた人の名前。時折夢に出て来ては直ぐに去って行く霧の守護者の名だった。



「動きって…骸はまだ復讐(ヴィンディチェ)の牢獄に入ってるんじゃ…」

「いえ。彼は数年前、沢田さんの10代目就任の時に牢獄から出ています」

「ええ!!オレの!?」



驚く沢田さんに草壁さんは大きく頷いて見せる。



「詳しい事情は私も存じませんが、この時代の沢田さんがボンゴレを引き継ぐ際、その条件の一つとして9代目に提案した事だと聞いています。……その後、9代目と復讐者との間で異例の話し合いが行われ、見事その案が通ったと言う話です」

「じ、じゃあ骸は本当に牢獄から出てるんだ」

「それじゃあアイツ、今は何処にいるんだ?」



更なる疑問を口にしたのは山本さんだ。私もそれが知りたい。夢で会う度、何処でどうしているのか訊ねても、あの人は何も答えてくれず、ずっと不安に思っていたから。

…そう言えば、この前夢で会った時に彼はこんな事を言っていた筈だ。


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