[携帯モード] [URL送信]
67.遅過ぎた 警告 ***


「正直に言うとさ、この時代に飛ばされて初めて名前さんに会った時から…ずっと気になってたんだ。何でこんなに気になるんだろうって自分でも分からなくて、戸惑ったりもしたよ。――でもボンゴレの試練を受けた時に…気付いたんだ。“誰よりも彼女の事を大切に想ってる…自分に”」



だから気付いた後は簡単だった。早く球針態から抜け出して、彼女に想いを伝えなければ。その一身だったと綱吉は笑う。



「あの人が未来の人だって事はちゃんと分かってるから心配するなよ、リボーン。…でもさ、せめてオレが過去に帰るまでの間だけは名前さんを好きでいさせて欲しいんだ!――駄目か!?」



別に綱吉自身、名前とどうこうなりたいと思っている訳ではなかった。――ただ、この想いを知って貰いたい。それだけだったのだから…。

自分が想いを寄せるだけならリボーンもきっと許してくれる。厳しい事も言うだろうが、何時ものように見守ってくれる筈だと、そう思っていた。





「駄目だ」





でもリボーンから返って来たのは否定の言葉。綱吉は一瞬自分の耳を疑った。けれど頭の中で木霊するのは“駄目”と言うリボーンの声だけで…。



「駄目って何で?好きで居る……だけ何だぞ?」

「それでも駄目だ。悪い事は言わねー。名前の事は諦めろ……ツナ」

「何、だよそれ!いきなりそんな事言われて『はいそうですか』…て納得出来る訳ないだろっ」



ガタと音を鳴らし、椅子から立ち上がる綱吉。そんな綱吉を獄寺は複雑そうに見つめ、山本は「落ち着けって」と宥める。
対照的な二人の様子を横目に見ながら、リボーンは再度警告を続けた。



「何度も言わすんじゃねー。これはお前の為でもあるんだぞ……ツナ」

「オレの、為?」



そう。全て綱吉自身の為…。彼が辛い思いをしないように。そして、あの人――“9代目”と同じ道を歩まなくて良いように…。リボーンはその事だけを願っていた。

代々歌姫は守護者と婚姻を結ぶのが掟とされている。それは歌姫の身体に封印された禁忌の匣…この時代で言う大地の匣を外部に流出させない為に必要不可欠だと定められていた事だったからだ。

しかしその婚姻もボスとだけは認められていない。理由は大地の匣を守る“歌姫の血”と、その歌姫を守る組織の長(おさ)である“ボンゴレの血”。どちらも絶やしてはならないモノだったから。

故に交じり合う事を禁忌とされ、決して結ばれる事のない大空と歌姫。例えどんなに互いを想い合おうと、必ず別れなければならない悲しい運命に両者はある。かつて“9代目と先代歌姫”がそうであったように…。


[←][→]

あきゅろす。
無料HPエムペ!