67.遅過ぎた 警告 **
「さ、沢田さん…っ」
「え?な、何?」
「あ、あの…///」
こう言う時どうやって話を切り出せば良いのか正直分からない。告白された経験がないからと言うのもあるが『私の事好きって本当ですか?』何て口が裂けても言えないと言うのが大半だったり。
私は更に頬を染め、言い辛そうに口籠もりながら視線を落とした。
「名前さん大丈夫?」
そんな私を、沢田さんが心配そうに覗き込んで来る。「大丈夫です」と慌てて顔を上げた瞬間。
「「……ぁ、…」」
息を飲む。だって唇が触れ合いそうな距離に沢田さんの顔があったから。
「ご、ごめんっ///」
「い、いえ///」
私達は咄嗟に距離を取った。頬が燃えたみたいに…熱い。私ってば沢田さんの事を意識し過ぎだ。このままじゃあ普段通りに会話をする事すら困難になってしまいそう。
「……おい名前」
「は、はい!!」
熱の増した頬を冷まそうと、両手で必死に押さえつけていた時。目の前で三枚重ねの座布団に座っていたリボーンさんに突然話掛けられる。
「悪いんだが、ちょっと雲雀を呼んで来てくれ」
「…雲雀さんを?」
「嗚呼」
どうして…と言う理由までは言われなかった。けれどリボーンさんの纏わせる何とも言い難い雰囲気が、私を無言で了承させていた。きっと何か大事な話があるのだろう。
「分かりました。直ぐに行ってきますね」
「嗚呼、頼んだぞ」
私は椅子から立ち上がり、軽く会釈をしてからダイニングを後にした。
了承したのは良いけれど、相手はあの雲雀さん。私如きが頼んだ所で一緒に来てくれるだろうか…。そんな不安を抱きながら私は一人、長い廊下を歩くのだった。
◇ ◇ ◇
「…何だよリボーン。急に名前さんを追い出すような真似してさ」
名前が出て行った後のダイニング。リボーンの態度が気に入らないと綱吉は唇を尖らせる。
しかし、綱吉自身先程からリボーンの様子が可笑しい事には気付いていた。恐らくトレーニングルームで自分が名前を好きだと告げた辺りから――だと思う。一体どうしたと言うのだろうか…。
「お前さっきから何か変だぞ?どうしたんだよ」
「変なのはてめーだろ」
思わぬ反撃に綱吉は「え」と声を洩らす。
「正気か?相手はこの時代の…“未来の人間”なんだぞ?そんな女を本気で好きだって言うのか」
それを聞いた瞬間、獄寺と山本が息を飲むのが分かった。二人が驚くのは無理もない。あの時、綱吉が名前に好きだと告げた時、二人はその場に居なかったのだから…。
「うん。正気だよ。オレは…彼女の事が好きだ」
だから二人にも分かるよう、はっきりと確かな言葉を口にする。恥ずかしがったり、照れたりせず、自分の想いを素直に。
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