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66.勝利の女神


「――オレ、貴女の事が……好きみたいです」



沢田さんからの突然の告白にトレーニングルームは一瞬で静まり返った。今のは私の聞き違い……ではないのだろうか?



「突然こんな事言って、ごめん。でも本格的な修行を始める前にどうしても伝えたくて…///」



――否、聞き違いではないらしい。それは照れたように頬を染める沢田さん自身が物語っていた。



「何か、はっきり伝えたらスッキリしちゃったな、アハハ。……これで修行に専念できそうです」



そう言って私の身体を離すと、沢田さんはポケットから死ぬ気丸を取り出し、服用。直後、大空の炎が彼の額とグローブに灯る。けれど、その炎は先程までとは明らかに違う“綺麗な炎”。混じり気の少ない、純度の高い死ぬ気の炎だった。



「越えたな」



背後で響いたリボーンさんの声。咄嗟に振り返ると、そこには山本さんと修行に行った筈のリボーンさんの姿があった。



「飛躍的なパワーアップと言われてこの伝説の試練しか思い付かなかったが、まさかあんな答えで試練を乗り越えるとはな。…歴代のボンゴレでもツナだけだと思うぞ」

「…リボーン…」



沢田さんが小さく呟く。



「今日の修行が終わったら訊きたい事がある」

「そうか。オレも色々話さなきゃならない事があるからな。終わったら獄寺と山本も呼んで来い」

「……分かった」



沢田さんは再び雲雀さんへと視線を移す。それからグッと拳を握り締め、更に炎を大きくした。



「ワオ」



それを見た雲雀さんは笑みを浮かべ、喜悦する。



「少しだけ僕の知ってる君に似て来たかな。…赤ん坊と同じで僕をワクワクさせる君にね。……此処から先は好きにして良いんだろう?赤ん坊」

「――嗚呼…。そう言う“約束”だからな」



その返答を聞いた雲雀さんは更に笑みを深め、リングに炎を灯す。同時に匣を取り出し、開匣した。中からはトンファーが飛び出し、彼がそれを握り締め、構えた瞬間、



「じゃあ始めようか」



凄まじい炎を纏う。…否、違う。殺気だ。立っている事もままならない程の強い殺気。これがボンゴレ最強の守護者・雲雀恭弥――。私はガクリとその場に膝を着いた。



「名前!!」



ラル・ミルチさんが慌てて駆け寄って来る。それを目にした雲雀さんと沢田さん。二人は一瞬だけこちらに視線を戻し、



「「名前の事は頼む/よ」」



同時に口を揃えた。そして両者は再び対峙する。


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