名前を庇うように胸に抱き締め、己の匣兵器を見つめる雲雀。ミシ、ミシと球体に亀裂が走り、
ドォオオン
大破と同時に綱吉が姿を現す。新たに得た武器“]グローブ・Ver.V.R(バージョンボンゴレリング)”を手にして…。
「沢田さん!」
綱吉の姿を確認した名前が歓喜の声を上げる。それに気付いた綱吉も名前の姿を捕らえ、そしてゆっくりと向き直った。
(初めて会った時からずっと不思議だったんだ)
視線を名前に向けたまま、綱吉は呟く。
(どうしてこんなにお前の事が気になるのか。自分でも分からなくて……正直戸惑ったりもした)
雲雀に抱き締められたままの名前…。そんな彼女を見るだけで、こんなにも心乱れる。胸が張り裂けそうになる。それは全て――彼女に寄せる想いが原因だったのだ。
(でも気付いたから)
綱吉は名前の前まで歩み寄ると、咄嗟に腕を伸ばし、雲雀の元から名前を奪い取った。
「さ、沢田さん!!?」
突然の行動に、驚いたように見開かれる瞳。そんな名前の姿に、綱吉はフッと口元を綻ばせる。
「……名前…」
彼女の名を口にした瞬間、額の炎が消え失せ、普段のあどけない少年に戻る綱吉。――しかし、そんな彼が告げたのは…。
「――オレ、貴女の事が……好きみたいです」
“ダメツナ”と呼ばれる綱吉からは想像出来ない、力強い言葉だった。
試練と継承
(オレは貴女より年下で、背も低くて頼りないかも知れない。…だけど、貴女を守りたいと言う気持ちだけは誰にも負けるつもりはないから…)
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