「!」
「お前はオレの思い描くレベルにまるで達していない。短時間では、これ以上のレベルアップは望めないと判断した」
「だが実際此処まで…」
そう言い掛けた時だった。ゴォオオッと言うけたたましい音を響かせながら、オレ目が掛けて“何か”が迫って来る。オレは咄嗟にそれを回避し、後ろの壁に飛び移る。しかし、その“何か”は再びオレに迫って来て…。
ドォォオン
オレは瞬時に両手を前に出し、正体不明の物体の動きを止めた。……くっ、物凄いパワーだ。弾き返す事が出来ない!!
「沢田さん!!!」
「ツナ!」
「10代目っっ」
みんながオレの名を呼ぶ。オレを襲って来たモノの正体…それは紫色の炎を纏(まと)ったハリネズミだった。この尋常ではないパワー。そして雲属性の炎。……まさか!
「気を抜けば死ぬよ」
そんなオレの耳に届く低いテノール。視界の端に一人の男が映り込んだ。
「……お前は…っ」
十中八九、オレに攻撃を仕掛けて来たその人物は、コツ、コツと靴音を響かせ、オレを見上げるように真下に立った。鋭い眼光がオレを射抜く。
(――まさか、オレの家庭教師と言うのは…)
「……君の才能を――こじ開ける」
“雲雀恭弥”なのか。
開始 個別指導
(最恐の家庭教師)
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