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64.開始 個別指導 ***


「!」

「お前はオレの思い描くレベルにまるで達していない。短時間では、これ以上のレベルアップは望めないと判断した」

「だが実際此処まで…」



そう言い掛けた時だった。ゴォオオッと言うけたたましい音を響かせながら、オレ目が掛けて“何か”が迫って来る。オレは咄嗟にそれを回避し、後ろの壁に飛び移る。しかし、その“何か”は再びオレに迫って来て…。


ドォォオン


オレは瞬時に両手を前に出し、正体不明の物体の動きを止めた。……くっ、物凄いパワーだ。弾き返す事が出来ない!!



「沢田さん!!!」

「ツナ!」

「10代目っっ」



みんながオレの名を呼ぶ。オレを襲って来たモノの正体…それは紫色の炎を纏(まと)ったハリネズミだった。この尋常ではないパワー。そして雲属性の炎。……まさか!





「気を抜けば死ぬよ」





そんなオレの耳に届く低いテノール。視界の端に一人の男が映り込んだ。



「……お前は…っ」



十中八九、オレに攻撃を仕掛けて来たその人物は、コツ、コツと靴音を響かせ、オレを見上げるように真下に立った。鋭い眼光がオレを射抜く。



(――まさか、オレの家庭教師と言うのは…)





「……君の才能を――こじ開ける」





“雲雀恭弥”なのか。



開始 個別指導


(最恐の家庭教師)


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