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64.開始 個別指導 **


未来に飛ばされたばかりの時、10年後の獄寺君と名前さんを見て感じた痛み。そして10年後の山本と名前さんを見て感じた痛みと同じだ。
おまけに胸の辺りがモヤモヤする。何だよ、これ…。何なんだよ…。こんな感覚……初めてだ。



「…、さん…沢田さん」



名前を呼ばれてハッとした。気が付くと目の前には心配そうな名前さんの姿が…。何度もオレを呼んでくれていたらしい。そんな彼女にオレは「何でもないです」と慌てて笑顔を作った。……顔、引き攣ってないかな。




◇ ◇ ◇


「全員揃ったな」

「予告通り本日より新しい修行…強襲用個別強化プログラムを開始する」



リボーンとラル・ミルチの言葉にオレ達は首を傾げた。強襲とは敵に襲撃を掛ける事で、その為の修行を行うらしい。



「この10日間、ツナがラル・ミルチに一対一で教えられていたように“一人に一人ずつ”家庭教師を付けて修行する。リング戦の時と同じだな」



成る程。じゃあオレにはリング戦と同じでリボーンが家庭教師に付くのかと思っていたら、予想に反し、リボーンは山本の家庭教師に付くと言う。

おまけに「じゃあオレには誰がっっ」と瞳を輝かせる獄寺君にはビアンキが付く事になった。でも、よりにもよって獄寺君の家庭教師がビアンキだ何て…。お腹を押さえたまま床に倒れ伏す獄寺君を、名前さんも心配そうに見つめている。



「やはり姉弟。私も嵐属性の波動が一番強いの。…修行が終わったら貴方にあるモノを授けるわ。――お父様からよ…」



ビアンキの言葉に一瞬、顔を上げた獄寺君。でも彼女の顔を直視した瞬間、「ぐわぁあ」と再び倒れ込んでしまった。



「獄寺さん!!」

「ご、獄寺君!リボーン、絶対無理だよ。中止した方が良いって…っっ」



こんな状態で修行になる訳がない。そう思って進言したのに、リボーンの手にはいつの間にか愛用の銃が握られていて。



「お前は自分の修行に専念しやがれ」



ガウン。オレに小言弾を撃ち込んだ。瞬間、額に灯るオレンジの炎。同時に両手に填めたグローブにも同色の炎が灯る。



「……始めよう…ラル・ミルチ…」



当然、残る人物がオレの家庭教師だとそう思った。しかし、当のラル・ミルチは静かに首を振る。



「……否。オレはお前の指導を下りる」


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あきゅろす。
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