≪綱吉side≫
ビアンキ達の帰還から10日が過ぎた。その間、獄寺君と山本は傷の治療に専念し、オレは一足早くラル・ミルチの修行を開始していた。今日もこれから地獄の特訓だι
エレベーターに乗り、地下8階のトレーニングルームに向かうオレ。…でも今日は何時もと違うんだよな。だって隣には、
「修行の調子はどうですか?沢田さん」
名前さんが居る。
リボーンの奴、急に彼女を呼び出して何考えてるんだ?これまでずっと『お前に傷でも付いたらヤベーからトレーニングルームには絶対に来るな』って豪語してた癖にさ。
「大変ですけど何とか…ιラルミルチに殴られながら頑張ってます///」
オレは密室で名前さんと二人きり…と言う状況に少し照れつつ、頭を掻きながらそう告げた。
そう言えば今日から新しい修行だって言ってたけど、何だろう?ハイパーモードでの炎の強化特訓はもう良いのかな?
暫くするとエレベーターが目的の階に到着。扉が開くのと同時に、オレ達の目の前に現れたのは、
「よお♪」
「おはようございますっ、10代目!!」
獄寺君と山本だった。
どうして二人が此処に?怪我はもう良いの?そう訊ねようとしたオレよりも先に名前さんが二人の元に駆け出して行く。
「獄寺さん!山本さん!」
「のあぁあああ///」
「おっと」
そして二人を同時に抱き締めた。獄寺君は慌て、山本は瞳を大きく見開いている。突然の彼女の行動に驚く二人。でもその腕はしっかりと名前さんの背中に回されていた。
「…ごめんなさい。私の所為で、お二人に大怪我をさせてしまって…。この事を伝えたくて何度も病室の前まで行ったんです……でも…勇気がなくて…入れなくて……」
「別にアンタの所為じゃないから気にしなくて良いっスよ。なあ獄寺」
「たりめーだ。勝手に勘違いしてんじゃねーよ」
「でも私が勝手な行動をしたから、お二人は…」
「だから勘違いすんなって!あの時、てめーがどんな行動を取っていようと、オレ達はγと戦うつもりだったんだ。だから…謝んな……バカ名前」
獄寺君の言葉にピクリと肩が揺れる。今獄寺君……何て言った?名前さんの事“名前”って…。何で?ずっと“名字”って呼んで筈なのに、何で急に名前で呼んでるの?
チリリと焼けたような痛みが胸に走る。まただ。またこの痛み…。
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