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63.変わり出す 未来 **


「恥ずかしながらバッテリーの接触不良です」



どうやら皆が予想した通り、故障が原因だったらしい…。今更ながらホッと安堵の息が零れる。



「…それで“我々の組織”って言ってたが、それは何なんだ?」

「そ、そうだよ!このボンゴレのアジトとも繋がってるような秘密基地持ってるし…」



神妙な面持ちの沢田さんとリボーンさん。そう言えば私も詳しく訊いた事はなかった。雲雀さんが匣の研究をしていて、ボンゴレとは違う組織に属していると言う話は聞いた事があったけど…。



「平たく言えば、並盛中学風紀委員を母体とした秘密地下財団です」



え!風紀委員!?風紀委員が母体何ですか?
雲雀さんが並盛町が大好きで、治安を守る為に昔、風紀委員長をしていたと言うのは有名な話だ。でもその風紀委員が今もまだ続いていた何て…。ちょっとビックリ。



「ここから先は直接雲雀に訊いて下さい。雲雀は暫く此処に滞在するつもりですので…」

「本当ですか!!」

「はい。此処には名前さんが居ますからね。雲雀もこの場を離れようとは思って居ない筈です」

「名前…さんが?」



沢田さんが驚いたように私を見る。当然だろう。今の草壁さんの言い方では、私が居なければ雲雀さんが何処かへ行ってしまいそうな言い方だもの。そんな筈ないのに。



「私の話はこんな所です」



草壁さんが今回のヒバード騒動の経緯を説明し終えると、小さなリボーンさんを抱き締めたままのビアンキさんが、沢田さんにそっと語りかける。



「大変だったわねツナ」

「リボーンに訊いたよ。僕らもツナ兄達が過去に帰れるように協力するよ」

「今の所、貴方達と我々の目的には幾つかの共通点がある。我々も力をお貸し出来ると思いますよ」



フゥ太君と草壁さんの言葉に、沢田さんはパァーと瞳を輝かせる。そんな彼に釣られるようにビアンキさんも笑みを浮かべた。……けれどその表情は一瞬で消え失せ、彼女の顔には影が落ちる。



「過去へ戻る為にはミルフィオーレの入江正一を倒せば良いのよね。……ミルフィオーレは私の敵でもあるの。倒すのに何の躊躇もないわ。…それに貴方達が10年前に戻って過去が変われば、私の愛する人や、沢山の仲間を失う、こんな未来には成らないかも知れない」



ビアンキさんの言葉に、私はぎゅうっと膝の上の拳を握り締めた。


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