「あの、草壁さん。私までご一緒して、お邪魔じゃないでしょうか?」
ボンゴレアジトに続く廊下を、私は雲雀さんの部下である草壁哲矢さんと並んで歩いて居た。
何でも、これからボンゴレ側と情報交換が行われるらしく、群れるのを嫌う雲雀さんの代わりに草壁さんが代役を務める事になっているそうだ。
私も断られるのを覚悟して「一緒に行かせて下さい」とお願いしたのだけど意外にもあっさり承諾。お願いした私の方が「本当に良いのかな」と不安に思ってしまう位だ。
「別に構いません。寧ろ、当事者である貴女だからこそ聞いて置かなければならない話もあるだろうと雲雀も言っていました。…それに情報収集に出掛けていたビアンキさん達も帰って居るそうですよ。…貴女も会いたいのではないですか?」
そう言ってこちらを振り返る草壁さん。彼の言葉で私の表情は瞬く間に明るくなった。ビアンキさんとお会いするのは何時振りだろうか。長らく会っていなかったから…。ビアンキさんの顔が見られる。それだけで私の心は晴れ晴れとしていた。
◇ ◇ ◇
「名前」
「ビアンキさん!」
応接室に足を踏み入れた瞬間、ぎゅうっと身体を抱き締められる。苦しかったけど、凄く嬉しい。
「大丈夫?怪我とかしなかったでしょうね?」
「私は平気です。でもその所為で獄寺さんが…」
「あの子の事は良いのよ。大した事ないわ。…それに貴女を守る事が使命みたいなモノ何だから。寧ろ『良くやった』と褒めて上げて。その方が隼人も喜ぶと思うわ」
「ビアンキさん」
私は複雑そうな顔をしつつも小さく頷いた。そして、応接室に集まった面々がソファーに腰掛け、各々(おのおの)の情報交換が始まる。先ず先陣を切ったのは草壁さんだ。
「では雲雀の代わりは私が務めます。先ずヒバードですが黒川花の要請で我々が飛ばしました」
「え?黒川花から?」
「そうです。笹川京子に対する黒川からの救援要請です。これは我々とボンゴレの取り決めでして、ある経路からSOSがあった場合、その現場にヒバードを飛ばす事になっているのです。普通の通信が困難な場合などに使われる予備のSOS手段の一つ……と言えば良いでしょうか」
「しかし、なぜSOS信号が神社で消滅したのでしょう?」
ジャンニーニさんの疑問に私も大きく頷く。あの時は何かあったのではないかと本当に心配した。
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