そう叫んだ。ベッドから飛び降り、入口目指して一目散に走り抜ける。でも腕を掴まれ阻まれる。
「どうしたんだ名前!」
腕を掴んだのは沢田さんだった。私は抵抗する。
「離して下さいっっ」
「名前!落ち着け!!どうしたんだっっ」
「駄目なんです!私は此処には居られないっ」
「どうして…っ」
「どうして?忘れたんですか?XANXUSさんの、あの言葉を……!!」
『お前ら全員、根絶やしにされるぞおおっっ』
何度も木霊する、あの言葉。歌姫がボンゴレを滅ぼす。彼らを傷つける。そんなのは嫌。嫌なの!
「私が本当に歌姫なら、私はもう此処には……貴方達の傍には居られません!!だから――っ」
「行かせない」
グッと腕を引き寄せ、その胸に抱き締められる。
「確か前にも言ったよな。もう離さないって」
「さ、わだ、さ…」
「それに9代目が言ってただろ。お前の傍には俺達が居る。俺達守護者が絶対名前を守るから」
ぎゅうと私を抱き締める腕に力が籠もって…。沢田さんにしがみつき、私は泣きじゃくった。そんな私を囲むように守護者が集まり、そして…。
「!!!」
一斉に跪いたのだ。
「くだらねー事考えてんじゃねーよ。てめー何かにヤられてたまっか」
「獄寺さん」
「言っただろ?俺達は名前の事信じてるからさ」
「山本さん」
「お前が大変だった時に傍に居てやれなくて済まなかったな…」
「笹川さん」
「オレも貴女に迷惑を掛けないように、もっと強くなりますから!」
「ランボ…君」
「君の為ならボンゴレの一員になるのも悪くないかも知れませんね」
「骸さん」
そして、一人椅子に座ったままだった雲雀さんがすっと立ち上がる。
「ひ、ばり…さん」
「……相手が君じゃなかったら、死んでもこんな事、したりしないよ」
不機嫌そうにそれだけ告げると、彼は周りの守護者同様、私の前に躊躇う事なく跪いた。
「…これから先…何があっても、必ず君の事は守ってあげるよ」
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