[携帯モード] [URL送信]
61.雲 VS 雷 **


けたたましい音を響かせながら両者の匣がぶつかり合う。激しい爆風と光。その凄さは目を開けている事も出来ない程だ。



「ハリネズミとは可愛いが、何てパワーだ」



ポツリと呟くγさんの声に私はそっと瞳を開けた。彼の雷狐と対峙していたのは確かに――可愛らしい雲ハリネズミ…。
そこでふと気付く。そうか。さっき私達に向かって来た『何か』はこの雲ハリネズミだったんだ。



「これだけの匣ムーブメントを、良くそんな三流リングで動かせる」

「僕は君達とは生き物としての性能が違うのさ」



フッと笑みを浮かべる雲雀さん。次の瞬間、


パリン。


雲雀さんのリングが音を立てて砕け散った。
彼の波動に耐えきず、リングが砕けたのだ。



「さあ僕らも始めよう」



彼はそう告げると新たなリングを指に填め直す。
そしてボウッと炎を灯し、次の匣を開匣。中に入っていたのは、雲の炎を纏(まと)った雲雀さん愛用のトンファーだった。



(まさか――リングを使い捨てにする何て…)



驚き、言葉を失う私の横をγさんが駆け抜けて行く。その際「こんな奴、初めてだ」と呟いていたのは空耳ではない筈。


カキンッ、カキンッ。


互いの武器が火花を散らしてぶつかり合う。
その上空では同じように対峙するアニマル匣達。
私は動く事も出来ずに、目の前で繰り広げられる彼らの戦いを傍観する事しか出来なかった。



(否、違う。傍観する事すら出来てない。だって二人の戦いを目で追う事すら出来てないもの)



でも、それでも良いと私は目を逸らさなかった。ぎゅっと唇を噛み締め祈るように両手を組む。



(――雲雀さん…)



カキン、カキン。止む事のない金属音。
両者、一歩も譲らない互角の戦いが続く。



(雲雀さん、雲雀さん)



私は心の中で何度も彼の名を呼び続けた。
次の瞬間だ。――雲雀さんが距離を縮めてγさんに攻撃を仕掛ける。咄嗟に電磁バリアを発動し、攻撃を回避しようとしたγさんだったけど…、


[←][→]

あきゅろす。
無料HPエムペ!